利用者に対して、過去2か月間(暦月)に訪問看護(医療保険を含む)提供していない場合で、訪問看護計画書を新たに作成した場合に算定できる加算です。
初回加算(介護保険)の詳細
新規に訪問看護計画書を作成した利用者に対して、初回の指定訪問看護を行った場合に、1月につき所定単位数を算定する。
ただし、病院、診療所又は介護保険施設からの退院又は退所した日に、看護師が初回の指定訪問看護を行った場合は、初回加算Ⅰを算定する。それ以外の場合は初回加算Ⅱを算定する。
初回加算の算定金額
(1)病院・診療所または介護保険施設から退院・退所した日に、看護師が、
初回の訪問看護を行った場合:初回加算Ⅰ(350単位)/月
(2)初回の訪問看護を行った場合:初回加算Ⅱ(300単位)/月
令和6年の介護報酬改定により、「要介護者等のより円滑な在宅移行を訪問看護サービスとして推進する観点から、看護師が退院・退所当日に初回訪問することを評価する新たな区分を設ける。」【告示改正】として、新しい区分(初回加算Ⅰ)が新設されました。
これまでの初回加算は、初回加算Ⅱとなりました。
初回加算の算定要件
- 暦月で過去2か月間に、医療保険でも介護保険でも、自事業所から訪問看護を提供していないこと。
- 新しく訪問看護計画を作成すること。
- 介護保険でも医療保険でも、退院時共同指導加算を算定していないこと。
- 初回加算Ⅰにおいては、病院・診療所・介護保険施設から退院・退所した日に看護師が初回訪問を行っていること。
暦月とは?

暦月って何のこと?

月初から月末までのことだよ。30日間じゃないってこと。
例えば、4/15に訪問看護を行った場合、初回加算を算定できるのは、2/1以降に訪問看護を提供していない場合に限られるよ。

カレンダーで見て、丸々2か月間空いてないとダメってことね。
介護保険施設とは?

初回加算Ⅰの介護保険施設って具体的には何ていう施設なの?

介護保険施設は、特別養護老人ホーム(特養)、介護老人保健施設(老健)、介護医療院のことだね。

ということは、要件を満たせば、老人保健施設から退所してきた場合も初回加算Ⅰを算定できるけど、グループホームとか、介護付き有料老人ホームとかは、初回加算Ⅱしか算定できないってことね。

そうだね。それらの施設は、介護保険上では施設ではなくて、在宅扱いだね。
ちなみに、初回加算Ⅰでは、退院・退所日当日に看護師が訪問することになっているよ。
初回加算の注意点
- 同月内に入退院を繰り返しても、月1回しか算定できません。
- 初回加算Ⅰと初回加算Ⅱは同時に算定できません。
- 他のステーションが同月に初回加算を算定していても、関係なく算定できます。
- 要支援から要介護になった場合やその逆の場合は、過去2か月間に訪問看護を提供していても初回加算を算定できます。
- 支給限度基準額に含まれる加算です。
- 予防訪問看護でも同じ算定要件、単位数になります。
要支援から要介護なれば算定できる?

毎月利用している利用者が要支援から要介護になったけど、初回加算算定していいの?逆の場合はどうかな?

要支援だったときや要介護だったときの実績は関係ないよ。
複数のステーションで初回加算を算定できる?

新しい利用者に、2か所のステーションから訪問することになったんだけど、両方のステーションで初回加算を算定できるのかな?

できるよ。
支給限度基準額って?

支給限度基準額に含まれる加算ってなに?

介護保険では、介護度に応じて、使えるサービス量が決まっているんだよ。
そしてその中に初回加算は含まれるということ。
つまり、この加算を算定すると、利用者の使えるサービス量がその分減るってことだね。
Q&A
- Q1つの訪問看護事業所の利用者が、新たに別の訪問看護事業所の利用を開始した場合に、別の訪問看護事業所において初回加算を算定できるのか。
- A
算定可能である。
(30.3.23介護保険最新情報vol.629 25)
- Q同一月に、2か所の訪問看護事業所を新たに利用する場合、それぞれの訪問看護事業所で初回加算を算定できるのか。
- A
算定できる。
(24.3.16介護保険最新情報vol.267 37)
- Q介護予防訪問看護を利用していた者が、要介護認定の更新等にともない一体的に運営している訪問看護事業所からサービス提供を受ける場合は、過去2か月以内に介護予防訪問看護の利用がある場合でも初回加算は算定可能か。
- A
算定できる。訪問介護の初回加算と同様の取り扱いであるため、平成21年Q&A(vol1)問33を参考にされたい。
(24.3.16介護保険最新情報vol.267 38)
- Q(訪問介護)初回加算を算定する場合を具体的に示されたい。
- A
初回加算は過去2月に当該指定訪問介護事業所から指定訪問介護の提供を受けていない場合に算定されるが、この場合の「2月」とは暦月(月の初日から月の月末まで)によるものとする。
したがって、例えば、4月15日に利用者に指定訪問介護を行った場合、初回加算が算定できるのは、同年の2月1日以降に当該事業所から指定訪問介護の提供を受けていない場合となる。
また、次の点にも留意すること。
①初回加算は同一月内で複数の事業所が算定することも可能であること。
②一体的に運営している指定介護予防訪問介護事業所の利用実績は問わないこと(介護予防訪問介護費の算定時においても同様である。)。
まとめ
どこから退院・退所してきたのか、いつ、どの職種が訪問するのかにより、算定できる加算区分が違ってきます。
後から報酬返還などの指導を受けることのないよう、算定要件などを見落とさないように注意していきましょう。
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