退院時共同指導加算は、医療保険にも同名の加算があります。どちらを算定するのかは、退院後の初回の訪問がどちらの保険で入るかによって変わります。
退院時共同指導加算(介護保険)の詳細
退院時共同指導加算は、病院、診療所、介護老人保健施設または介護医療院に入院中(入所中)の者が退院(退所)するにあたり、ステーションの看護師等(准看護師の除く)が入院中(入所中)の者またはその看護にあたっている者に対して、病院・診療所・介護老人保健施設または介護医療院の主治医やスタッフと共同して、入院中(入所中)の者またはその看護にあたっている者に対して、在宅での療養上の必要な指導を行い、その内容を文書等で提供した場合に算定するものです。
看護師等とは?

ステーションの看護師等って具体的に何のこと?

「看護師等」とは、介護保険においては、保健師・看護師・准看護師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士のことだよ。
そして、准看護師を除くとなっているから、
保健師・看護師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が退院時共同指導を行った場合に、算定できるということだね。
退院時共同指導加算(介護保険)の算定金額
退院時共同指導加算:600単位/回
退院時共同指導加算(介護保険)の算定要件
- 退院時共同指導加算は、病院、診療所、介護老人保健施設または介護医療院に入院中(入所中)の者が退院(退所)するにあたり、ステーションの看護師等(准看護師の除く)が入院中(入所中)の者またはその看護にあたっている者に対して、病院・診療所・介護老人保健施設または介護医療院の主治医やスタッフと共同して在宅での療養上の必要な指導を行い、その内容を文書等で提供した場合に算定します。
- 退院退所後の初回の訪問看護の実施日に加算します。
- 特別管理加算対象者は、別日に2回指導した場合、2回算定できます。
- 初回の訪問看護の同月もしくは前月に退院時共同指導を行った場合に加算できます。
- 実施した指導等は訪問看護記録に記録します。
特別管理加算の対象者に2回指導する場合は?

特別管理加算の対象者は2回算定できるの?その場合、二日に分けて退院時共同指導をしないとダメ?
1日に2回分の指導をしたらどうなの?

特別管理加算の対象者については、特別管理加算の項目を確認してね。
要するに医療機器の管理が必要な場合ということだね。
そして、この特別管理加算の対象者については、1回の入院で2回算定ができることになっているけど、1日にまとめて指導したら1回分しか算定できないよ。
必ず、複数日に分けて指導する必要があるよ。
初回の訪問看護の実施日に加算するとは?

退院退所後の初回の訪問看護の実施日に加算するって具体的にどういうこと?

例えば、退院時共同指導を行った後、退院直後に特別訪問看護指示書が出たとするよ。そうすると初回の訪問看護は医療保険で訪問するよね?
その場合、介護保険の退院時共同指導加算は算定できない。
代わりに、医療保険の退院時共同指導加算を算定することになるよ。
退院時共同指導加算(介護保険)の注意点
- 支給限度基準額に含まれる加算です。
- 医療保険で規定するところの「特別の関係」にある医療機関や介護老人保健施設でも算定可能です。
- 医療保険の退院時共同指導加算や介護保険の初回加算を算定する場合は、算定できません。
- 文書以外の方法で提供する場合は、履歴が残る電子メール等により提供します。その際は、厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守します。
- 初回訪問看護の2か月前に行った退院時共同指導では、算定できません。
- 原則として1回の退院につき、1か所のステーションしか算定できない(特別管理加算対象者の除く)ため、複数のステーション等がある場合には、主治医の所属する医療機関、介護老人保健施設、または介護医療院に対して、他のステーション等が退院時共同指導を実施していないかを確認します。
- 特別管理加算の対象者については、退院時共同指導を別日に2回行うことができます。その際、複数のステーション、定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所 又は 看護小規模多機能型居宅介護事業所 が退院時共同指導を行う場合は、それぞれ1回ずつ算定することもできます。
- 退院時共同指導は、テレビ電話等を使用することができますが、利用者とその看護にあたる者の同意を得なければなりません。また、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取り扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守します。
同月に入退院を繰り返した場合は?

最大で1か月に2回までしか、算定できないってことでいいの?
同じ月に入退院を繰り返した場合は、どうなの?

同じ月に入退院を繰り返した場合は、退院ごとに要件を満たしていれば算定できるよ。ただし、退院後に訪問看護を提供していることが条件になる。
例えば、
(退院時共同指導加算は2回算定できる)
入院⇒退院時共同指導⇒退院⇒訪問看護実施⇒再入院⇒退院時共同指導⇒退院⇒
訪問看護実施
(退院時共同指導加算は1回しか算定できない)
入院⇒退院時共同指導⇒退院⇒再入院⇒退院時共同指導⇒退院⇒訪問看護実施
詳しくは次のQ&Aを確認してね。
電子メールで指導内容を提供したい場合は?

電子メールで指導内容を提供してもいいんだよね?
そっちのほうが楽だね。

どうだろうね。
電子メールで指導内容を提供する場合は、その履歴が残っていないといけないよ。
あと、電子メールで指導内容を提供することについて、利用者やその家族の同意も必要だよ。もちろん、同意を得たという記録が必要になるよ。
さらに、送信して終わりじゃなくって、利用者側がメールを受け取ったことを確認したうえで、確認したことを訪問看護記録に残さないといけないよ。
詳しくは次のQ&Aを読んでね。
Q&A
- Q退院時共同指導を実施した2ヶ月後に退院後初回の訪問看護を行った場合は退院時共同指導加算を算定できるのか。
- A
算定できない。退院後初回の訪問看護を行った月の同一月若しくは前月に退院時共同指導を実施した場合に算定できる。
- Q退院時共同指導加算を2ヵ所の訪問看護ステーションで算定できるのか。
- A
退院時共同指導加算は、1回の入院について1回に限り算定可能であるため、1ヵ所の訪問看護ステーションのみで算定できる。ただし、特別管理加算を算定している状態の利用者(1回の入院につき2回算定可能な利用者)について、2ヵ所の訪問看護ステーションがそれぞれ別の日に退院時共同指導を行った場合は、2ヵ所の訪問看護ステーションでそれぞれ1回ずつ退院時共同指導加算を算定することも可能である。
- Q退院時共同指導加算は、退院又は退所1回につき1回に限り算定できることとされているが、利用者が1ヶ月に入退院を繰り返した場合、1月に複数回の算定ができるのか。
- A
算定できる。ただし、例2の場合のように退院時共同指導を2回行った場合でも退院後1度も訪問看護を実施せず再入院した場合は、退院時共同指導加算は1回のみ算定できる。
(例1)退院時共同指導加算は2回算定できる
入院→退院時共同指導→退院→訪問看護の提供→再入院→退院時共同指導
→訪問看護の実施
(例2)退院時共同指導加算は1回算定できる
入院→退院時共同指導→退院→再入院→退院時共同指導→訪問看護の実施
- Q退院時共同指導の内容を文書以外の方法で提供する場合、指導の内容を電話に伝達してもよいのか。
- A
元来、退院時共同指導の内容を文書により提供していたことを鑑みれば、電話による伝達ではなく、履歴が残る電子メール等の電磁的方法により指導内容を提供することが想定される。
- Q退院時共同指導の内容を文書以外の方法で提供する場合、利用者やその家族の同意は必要か。
- A
必要。利用者やその家族によっては、退院共同指導の内容の提供を受ける手段として電磁的方法ではなく文書による提供を希望する場合も考えられるため、希望に基づき対応すること。
- Q退院時共同指導の内容を電子メールで送信できたことが確認できれば退院時共同指導加算の算定は可能か。
- A
不可。 電子メールで送信した後に利用者またはその家族が受け取ったことを確認するとともに、確認したことについて訪問看護記録書に記録しておく必要がある。
まとめ
医療保険と介護保険で同じ名称の加算があるので注意してください。
同名の加算でも、算定要件や金額も異なる場合があります。
また、どのようなときにどちらを算定するか、決まっている場合がありますので、両方とも確認してください。
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