退院時共同指導加算は、介護保険にも同名の加算があります。どちらを算定するのかは、退院後の初回の訪問がどちらの保険で入るかによって変わります。
退院時共同指導加算(医療保険)の詳細
退院時共同指導加算は、病院、診療所、介護老人保健施設または介護医療院に入院中(入所中)の者が退院(退所)するにあたり、ステーションの看護師等(准看護師の除く)が入院中(入所中)の者またはその看護にあたっている者に対して、病院・診療所・介護老人保健施設または介護医療院の主治医やスタッフと共同して利用者やその看護者に対して、在宅での療養上の必要な指導を行い、その内容を文書等で提供した場合に算定するものです。

ステーションの看護師等って具体的に何のこと?

「看護師等」とは、医療保険においては、保健師・助産師・看護師・准看護師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士のことだよ。
そして、准看護師は除くとなっているから、
保健師・助産師・看護師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が退院時共同指導を行った場合に、算定できるということだね。
退院時共同指導加算(医療保険)の算定金額
退院時共同指導加算:8000円/回
退院時共同指導加算(医療保険)の算定要件
- 退院時共同指導加算は、病院、診療所、介護老人保健施設または介護医療院に入院中(入所中)の者が退院(退所)するにあたり、ステーションの看護師等(准看護師の除く)が入院中(入所中)の者またはその看護にあたっている者に対して、病院・診療所・介護老人保健施設または介護医療院の主治医やスタッフと共同して在宅での療養上の必要な指導を行い、その内容を文書等で提供した場合に、当該退院・退所につき1回(別表7,8該当者の場合は2回)算定します。
- 退院退所後の初回の訪問看護の実施日の訪問看護管理療養費に加算します。
- 別表7,別表8の対象者は、複数日に退院時共同指導を実施した場合に限り、2回算定できます。
- 初回の訪問看護の同月もしくは前月に退院時共同指導を行った場合に加算できます。
- 実施した指導内容等は、訪問看護記録に記録します。
退院退所後の初回の訪問看護の実施日に加算するとは?

退院退所後の初回の訪問看護の実施日に加算するって具体的にどういうこと?
あと、介護保険の退院時共同指導加算のように、1か月の間に2回入院したら、その退院後ごとに算定できるのかな?

例えば、要介護認定を受けている利用者だった場合、原則として介護保険からの給付になるから、利用者が精神科訪問看護対象者や別表7対象者だったり、特別訪問看護指示書が出ない限り、退院後の初回の訪問看護は介護保険での訪問になるよ。
そうすると、医療保険の退院時共同指導加算は算定できない。
代わりに介護保険の退院時共同指導加算を算定することになるよ。
算定要件で当該退院・退所につき1回(別表7,8は2回※複数日に実施)となっているから、退院ごとだね。もちろん、退院後の初回訪問に加算されるから、その退院後に訪問看護を実施していないなら算定できないよ。
1回の入院で、2回算定できる場合とは?

1回の入院で2回算定できる場合って、どんな場合?
確か、介護保険の退院時共同指導加算では、特別管理加算の対象者であれば、2回算定できたと思うけど、医療保険の退院時共同指導加算では要件が違うの?

介護保険の退院時共同指導加算とは、少し要件が違うから、注意してね。
医療保険の退院時共同指導加算で、1回の退院・退所につき2回算定できるのは、利用者が別表7,8の対象者であること、さらに複数日に指導していること、ということになっているよ。
別表7,別表8とは?

ところで、別表?7と8ってなんのこと?

おっと、それは重要なうえに基本的なところだから、しっかり確認しておいてね。
簡単にいうと、別表7とは特定の病状で、別表8は医療機器などの管理が必要な状態だよ。ほかのところでも何度も出てくるけど、重要だから要チェックだよ。
- 末期の悪性腫瘍
- 多発性硬化症
- 重症筋無力症
- スモン
- 筋萎縮性側索硬化症
- 脊髄小脳変性症
- ハンチントン病
- 進行性筋ジストロフィー症
- パーキンソン病関連疾患(進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、パーキンソン病(ホーエンヤール重症度分類がステージ3以上であって生活機能障害度がⅡ度またはⅢ度のものに限る))
- 多系統萎縮症(綿条体黒質変性症、オリーブ橋小脳萎縮症、シャイ・ドレーガー症候群)
- プリオン病
- 亜急性硬化性全脳炎
- ライソゾーム病
- 副腎白質ジストロフィー
- 脊髄性筋萎縮症
- 球脊髄性筋萎縮症
- 慢性炎症性脱髄性多発神経炎
- 後天性免疫不全症候群
- 頸髄損傷
- 人工呼吸器を使用している状態の者(慢性心不全の患者で「在宅人工呼吸指導管理」、「人工呼吸器管理加算の2」を算定している場合はこの「人工呼吸器」に該当する)
- 在宅麻薬等注射指導管理を受けている状態にある者
- 在宅腫瘍化学療法注射指導管理を受けている状態にある者
- 在宅強心剤持続投与指導管理を受けている状態にある者
- 在宅気管切開患者指導管理を受けている状態にある者
- 気管カニューレを使用している状態にある者
- 留置カテーテルを使用している状態にある者
- 在宅自己腹膜灌流指導管理を受けている状態にある者
- 在宅血液透析指導管理を受けている状態にある者
- 在宅酸素療法指導管理を受けている状態にある者
- 在宅中心静脈栄養法指導管理を受けている状態にある者
- 在宅成分栄養経管栄養法指導管理を受けている状態にある者
- 在宅自己導尿指導管理を受けている状態にある者
- 在宅人工呼吸指導管理を受けている状態にある者
- 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理を受けている状態にある者
- 在宅自己疼痛管理指導管理を受けている状態にある者
- 在宅肺高血圧症患者指導管理を受けている状態にある者
- 人工肛門または人工膀胱を設置している状態にある者
- 真皮を越える褥瘡の状態にある者
- 在宅患者訪問点滴注射管理指導料を算定している者
退院時共同指導加算(医療保険)の注意点
- 退院時共同指導は、リアルタイムコミュニケーション(以下「ビデオ通話」)が可能な機器を用いて共同指導した場合でも算定できます。
- 利用者の個人情報をビデオ通話の画面で共有する際は、利用者に同意を得ます。
- 保険医療機関の電子カルテを含む医療情報システムと共通のネットワーク上の端末において共同指導する場合は、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に対応している必要があります。
- 文書を電磁的方法によって提供する場合は、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」を遵守し、安全な通信環境を確保するとともに、書面における署名または記名・押印に代わり、当該ガイドラインに定められた電子署名を施します。
- 2回算定できる場合を除いて、1人の利用者につき、原則、1つのステーションにおいてのみ、算定できます。
- 1回の入院で2回算定できる場合(別表7,8対象者で、複数日実施した場合)で、2か所の訪問看護ステーションが行った場合は、それぞれのステーションが1回ずつ算定できます。
- 入院・入所先の医療機関、介護老人保健施設または介護医療院と特別の関係にある場合も算定できます。
- 特別管理加算の対象者に対しては、退院時共同指導加算に特別管理指導加算(2000円)を上乗せして、初日の訪問看護実施時の訪問看護管理療養費に加算します。
特別管理指導加算を算定できる場合とは?

特別管理指導加算っていうのも算定できるの?
それってどんな場合?

退院時共同指導加算の追加加算だよ。介護保険にはない加算だね。
退院時共同指導を行っていない場合、特別管理指導加算だけ算定することはできないよ。
医療機器などの管理が必要な方に、追加で算定できる。
詳しくは以降を読んでね。
特別管理指導加算(医療保険)の詳細
退院時共同指導加算を算定している利用者であって、
特別管理加算の対象者である場合に加算できます。
特別管理指導加算(医療保険)の算定金額
特別管理指導加算:2000円/回
特別管理指導加算(医療保険)の算定要件
- 退院時共同指導加算を算定している利用者であって、特別管理加算の対象者(別表8該当者)である場合に加算できます。
特別管理指導加算の注意点
- 退院時共同指導加算を算定していることが必要です。特別管理加算対象者であっても、特別管理指導加算だけを算定することはできません。

もし、この別表8に該当する利用者が、1か月の間に入退院を繰り返したら、こ特別管理指導加算も毎回算定できるってこと?

算定要件を満たしている場合は、算定できるね。
Q&A
- Q退院時共同指導加算の特別管理指導加算は、理学療法士等のリハビリ職種が行った場合にも算定できるのか。
- A
そのとおり。
まとめ
医療保険の退院時共同指導加算は、別表8の対象者については、特別管理指導加算が上乗せして算定可能です。介護保険と同名ですが、2回算定できる要件など、内容は微妙に違いますので、細かく確認していきます。
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