複数名訪問看護加算(医療保険)

医療保険
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複数名訪問看護看護加算は、1人の看護師等では対応が困難な利用者や、難病等の利用者に対して、看護職員と看護師等またはその他職員と同時に訪問看護を行った場合に加算するものです。

複数名精神科訪問看護加算は、1人の保健師・看護師では対応が困難な利用者に対して、保健師・看護師と同時に保健師・看護師・准看護師・作業療法士・看護補助者・精神保健福祉士が同行して訪問看護を実施する場合に加算するものです。

複数名訪問看護加算(医療保険)の詳細

複数名訪問看護看護加算は、1人の利用者に対して、当該利用者またはその家族等の同意を得て、1人の看護師等では対応が困難な利用者および、別表7、8対象者、特別訪問看護指示書の対象者に対して、看護職員と看護師等またはその他職員と同時に訪問看護を行った場合に加算するものです。

その他職員とは、看護師等または看護補助者のことです。

看護補助者とは、訪問看護を担当する看護師の指導の下に、療養生活上の世話(食事、清潔、排せつ、入浴、移動等)のほか、居室内の環境整備、看護用品及び消耗品の整理整頓等といった看護業務の補助を行う者のことであり、資格は問わない。秘密保持や医療安全等の観点から、当該訪問看護ステーションに雇用されている必要があるが、指定基準の人員に含まれないことから、従事者の変更届の提出は要しない。

看護師等とは?

ステーションの看護師等って具体的に何のこと?

「看護師等」とは、医療保険においては、保健師・助産師・看護師・准看護師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士のことだよ。

ちなみに「看護職員」とは、保健師・助産師・看護師・准看護師のことだよ。

複数名精神科訪問看護加算(医療保険)の詳細

複数名精神科訪問看護看護加算は、同時に保健師又は看護師と保健師等、看護補助者又は精神保健福祉士との同行による指定訪問看護を実施した場合、1日につき同行者に応じた、いずれかの区分の所定単位数を加算するものです。

複数名訪問看護加算(医療保険)の算定金額

加算項目名と算定金額
同行する職員回数制限等同一建物内に1人又は2人同一建物内に3人以上
保健師
助産師
看護師
理学療法士
作業療法士
言語聴覚士
週1日まで算定額:4500円算定額:4000円
准看護師週1日まで算定額:3800円算定額:3400円
その他職員
(別に厚生労働大臣が定める場合を除く。)
週3日まで算定額:3000円算定額:2700円
その他職員
(別に厚生労働大臣が定める場合。)
1日1回算定額:3000円算定額:2700円
1日2回算定額:6000円算定額:5400円
1日3回以上算定額:10000円算定額:9000円

別に厚生労働大臣が定める場合・・・別表7、別表8の対象者および、特別訪問看護指示書により訪問看護を受けている者。

その他職員とは、看護師等または看護補助者のことです。

複数名精神科訪問看護加算(医療保険)の算定金額

加算項目名と算定金額
同行する職員回数制限等同一建物内に1人又は2人同一建物内に3人以上
保健師、看護師、作業療法士1日1回算定額:4500円算定額:4000円
1日2回算定額:9000円算定額:8100円
1日3回以上算定額:14500円算定額:13000円
准看護師1日1回算定額:3800円算定額:3400円
1日2回算定額:7600円算定額:6800円
1日3回以上算定額:12400円算定額:11200円
看護補助者、精神保健福祉士週1日まで算定額:3000円算定額:2700円

週1日とは、利用者とステーションのどちらからみて?

週1日が限度ってことだけど、利用者からみて週1日?うちのステーションからみて週1日?同じ週に他所のステーションも週1日訪問できるの?

利用者からみて週1日だね。

同じ週に複数のステーションが複数名訪問することはできないよ。

同じ週に各区分を併算定できる?

複数名訪問看護加算では、別に厚生労働大臣が定める場合の看護補助者は、1日単位の記載しかないけど、毎日でも訪問できるのかな?

あと、同じ週で、看護師と週1日、補助者と週3日訪問することってできる?

別に厚生労働大臣が定める場合の看護補助者は、毎日でも1日3回、複数名で訪問できるよ。

あと、同じ週で看護師と1日、補助者と3日訪問することもできるよ。

ただし、別に厚生労働大臣が定める場合であっても、看護師と訪問した日に、2回目と3回目は看護補助者と訪問するということはできないよ。

別表7,別表8とは?

ところで、別表?7と8ってなんのこと?

おっと、それは重要なうえに基本的なところだから、しっかり確認しておいてね。

簡単にいうと、別表7とは特定の病状で、別表8は医療機器などの管理が必要な状態だよ。ほかのところでも何度も出てくるけど、重要だから要チェックだよ。

別表7
  • 末期の悪性腫瘍
  • 多発性硬化症
  • 重症筋無力症
  • スモン
  • 筋萎縮性側索硬化症
  • 脊髄小脳変性症
  • ハンチントン病
  • 進行性筋ジストロフィー症
  • パーキンソン病関連疾患(進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、パーキンソン病(ホーエンヤール重症度分類がステージ3以上であって生活機能障害度がⅡ度またはⅢ度のものに限る))
  • 多系統萎縮症(綿条体黒質変性症、オリーブ橋小脳萎縮症、シャイ・ドレーガー症候群)
  • プリオン病
  • 亜急性硬化性全脳炎
  • ライソゾーム病
  • 副腎白質ジストロフィー
  • 脊髄性筋萎縮症
  • 球脊髄性筋萎縮症
  • 慢性炎症性脱髄性多発神経炎
  • 後天性免疫不全症候群
  • 頸髄損傷
  • 人工呼吸器を使用している状態の者(慢性心不全の患者で「在宅人工呼吸指導管理」、「人工呼吸器管理加算の2」を算定している場合はこの「人工呼吸器」に該当する)
別表8
  • 在宅麻薬等注射指導管理を受けている状態にある者
  • 在宅腫瘍化学療法注射指導管理を受けている状態にある者
  • 在宅強心剤持続投与指導管理を受けている状態にある者
  • 在宅気管切開患者指導管理を受けている状態にある者
  • 気管カニューレを使用している状態にある者
  • 留置カテーテルを使用している状態にある者
  • 在宅自己腹膜灌流指導管理を受けている状態にある者
  • 在宅血液透析指導管理を受けている状態にある者
  • 在宅酸素療法指導管理を受けている状態にある者
  • 在宅中心静脈栄養法指導管理を受けている状態にある者
  • 在宅成分栄養経管栄養法指導管理を受けている状態にある者
  • 在宅自己導尿指導管理を受けている状態にある者
  • 在宅人工呼吸指導管理を受けている状態にある者
  • 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理を受けている状態にある者
  • 在宅自己疼痛管理指導管理を受けている状態にある者
  • 在宅肺高血圧症患者指導管理を受けている状態にある者
  • 人工肛門または人工膀胱を設置している状態にある者
  • 真皮を越える褥瘡の状態にある者
  • 在宅患者訪問点滴注射管理指導料を算定している者

複数名訪問看護加算(医療保険)の算定要件

算定要件
  • 看護職員が同時に他の看護師等またはその他職員(※)と訪問看護を行った場合に算定できます。
  • 同時に指定訪問看護を行うことについて、利用者または家族等の同意を得る必要があります。
  • 利用者は、以下のいずれかに該当する者に限られます。

①別表7に該当する利用者

②別表8に該当する利用者

③特別訪問看護指示書に係る指定訪問看護を受けている者

④暴力行為、著しい迷惑行為、器物破損行為等が認められる者

⑤利用者の身体的理由により1人の看護師等による訪問看護が困難と認められる者(看護職員がその他職員(※)と同時に指定訪問看護を行う場合に限る)

⑥その他利用者の状況等から判断して①~⑤までのいずれかに準ずると認められる者(看護職員がその他職員(※)と同時に指定訪問看護を行う場合に限る)

※その他職員とは、看護師等または看護補助者のこと。

複数名精神科訪問看護加算(医療保険)の算定要件

算定要件
  • 保健師又は看護師が同時に、保健師、看護師、准看護師、作業療法士、看護補助者、精神保健福祉士と訪問看護を行った場合に算定できます。
  • 同時に指定訪問看護を行うことについて、利用者または家族等の同意を得る必要があります。
  • 医師が複数名訪問の必要があると認め、精神科訪問看護指示書にその旨の記載(複数名訪問の必要性欄に「あり」と「理由」の記載)がある場合に算定します。
  • 30分以上の訪問看護であること(30分未満の訪問看護は対象外)。

複数名訪問看護加算(医療保険)の注意点

注意点
  • 二人のうち、一人は必ず看護職員でなければなりません。
  • 単に2人の看護師等または看護補助者が同時に指定訪問看護を行ったということだけでは、算定できません。
  • 看護職員と同行する看護補助者は、常に同行の必要はないが、必ず利用者の居宅において両者が同時に滞在する時間が一定の時間(30分程度を越えていること)、確保された場合に算定できます。
  • 算定要件の週1日とは、利用者一人に対して週1日のみ算定できるということです。
  • 看護補助者はステーションに雇用されている必要があります。

複数名精神科訪問看護加算(医療保険)の注意点

注意点
  • 二人のうち、一人は必ず保健師・看護師でなければなりません。
  • 単に2人の保健師等または看護補助者、精神保健福祉士が同時に指定訪問看護を行ったということだけでは、算定できません。
  • 保健師又は看護師と同行する看護補助者は、常に同行の必要はないが、必ず利用者の居宅において両者が同時に滞在する時間が一定の時間(30分程度を越えていること)、確保された場合に算定できます。
  • 算定要件の週1日とは、利用者一人に対して週1日のみ算定できるということです。
  • 看護補助者はステーションに雇用されている必要があります。

※ 保健師等・・・保健師、看護師、准看護師、作業療法士

同意は電話でもいいの?

複数名訪問看護加算の要件に、利用者か家族の同意が必要ってことだけど、電話でもいいのかな?

口頭でもいいということになっているよ。

もちろん、同意を得たという記録が必要だよ。

リハビリスタッフの複数名訪問はダメ?

二人のうち、一人は看護職員(保健師・助産師・看護師・准看護師)でないとダメみたいだけど、理学療法士と看護補助者という組み合わせはダメなの?。

その通り。理学療法士等(※)×理学療法士等(※)の組み合わせもダメだし、

理学療法士等(※)×看護補助者の組み合わせもダメだよ。

この部分も介護保険の複数名訪問とは異なるところだから、混同しないように注意が必要だね。

※理学療法士等とは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士。

Q&A

Q&A
Q
複数名訪問看護加算及び複数名精神科訪問看護加算について、同一建物に居住するA,B,C3人の利用者に、同一の訪問看護ステーションが、以下のような訪問を行った場合には、同一建物居住者に係るいずれの区分を算定することとなるか。
①A:他の看護師との訪問看護/B:他の看護師との訪問看護/C:他の理学療法士との訪問看護
②A:他の看護師との訪問看護/B:他の看護師との訪問看護/C:他の看護補助者との訪問看護(「ニ」の1日1回)
③A:他の看護補助者との訪問看護(「ニ」の1日1回)/B:他の看護補助者との訪問看護(「ニ」の1日1回)/C:他の看護補助者との精神科訪問看護
④A:他の看護補助者との訪問看護(「ニ」の1日1回)/B:他の看護補助者との訪問看護(「ニ」の1日2回)/C:他の看護補助者との精神科訪問看護
A

それぞれ以下の通り。

①A,B,Cいずれも、複数名訪問看護加算の「看護師等」「同一建物内3人以上」を算定。

②A及びBは、複数名訪問看護加算の「看護師等」「同一建物内2人」を算定。Cは、複数名訪問看護加算の「看護補助者(ニ)」「1日1回の場合」「同一建物内1人」を算定。

③A及びBは、複数名訪問看護加算の「看護補助者(ニ)」「1日1回の場合」「同一建物内3人以上」を算定。Cは、複数名精神科訪問看護加算の「看護補助者」「同一建物内3人以上」を算定。

④A及びBは、複数名訪問看護加算の「看護補助者(ニ)」「1日に2回の場合」「同一建物内2人」を算定。Cは、複数名精神科訪問看護加算の「看護補助者」「同一建物内1人」を算定。

Q
複数名訪問看護加算は同時に複数名で訪問看護を行う場合とされているが、指定訪問看護の実施時間の全体すべてに同時に複数で行う必要があるか。
A

同時に複数の看護師等が必要な時間帯に複数名で対応することでもよい。ただし、同時に複数名で訪問看護を実施する時間は訪問看護の標準的な時間としている30分程度を超えていること。

Q
複数名訪問看護加算は1人の利用者に対して週1回に限り所定額に加算することとしているが、複数の訪問看護ステーションが訪問看護を行っている場合はそれぞれのステーションで算定できるのか。
A

1人の利用者に対して週1回に限り算定できるものであり、同じ週に複数のステーションそれぞれで算定できない。ただし、各週で算定する訪問看護ステーションが異なってもかまわない。(平成24年4月改定以降は、当該加算の「イ」及び「ロ」の場合に該当)

Q
同時に3名で訪問看護を行った場合においても、複数名訪問看護加算は週1回のみの算定か。
A

その通り。(平成24年4月改定以降は「イ」「ロ」の場合に該当)

Q
複数名訪問看護加算の要件として、「同時に複数の看護師等による指定訪問看護を行うことについて、利用者またはその家族等の同意を得ること。」とあるが、口頭で同意を取るとしてもよいか。
A

口頭でもよいが、同意を得た旨を記録等に残すこと。

Q
複数名訪問看護加算において評価されている看護補助者には、業務の定義や資格要件はあるのか。また、訪問看護ステーションに雇用されていない看護補助者でもよいのか。
A

看護補助者については、訪問看護を担当する看護師の指導の下に、療養生活上の世話(食事、清潔、排泄、入浴、移動等)のほか、居室内の環境整備、看護用品及び消耗品の整理整頓といった看護業務の補助を行う者のことを想定しており、資格は問わない。秘密保持や医療安全等の観点から、当該訪問看護ステーションに雇用されている必要があるが、指定基準の人員に含まれないことから、従事者の変更届の提出は要しない。

Q
複数の看護師等で指定訪問看護を行い、複数名精神科訪問看護加算を算定する場合は、医師から交付される精神科訪問看護指示書に「複数名訪問の必要性」の欄が追加されたが、当該欄に「あり」と記載されている場合に算定が可能となるという理解でよいか。
A

よい。

まとめ

介護保険の複数名訪問加算とは、要件や内容も異なっていますので、混同しないように注意しましょう。

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