特別管理加算(介護保険)

介護保険
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特別な管理を要する利用者に対して計画的な管理を行った場合に算定します。

特別管理加算(介護保険)の詳細

指定訪問看護に関し特別な管理を必要とする利用者に対して、指定訪問看護事業所が、指定訪問看護の実施に関する計画的な管理を行った場合に、別に厚生労働大臣が定める区分に応じて加算を算定できる。

特別管理加算(介護保険)の算定金額

加算項目名と算定金額

特別管理加算(Ⅰ)・・・500単位/月

特別管理加算(Ⅱ)・・・250単位/月

特別管理加算(Ⅰ)の対象者
  • 在宅麻薬等注射指導管理、在宅腫瘍化学療法注射指導管理、又は、在宅強心剤持続投与指導管理、在宅気管切開患者指導管理を受けている状態
  • 気管カニューレを使用している状態
  • 留置カテーテルを使用している状態
特別管理加算(Ⅱ)の対象者
  • 在宅自己腹膜灌流指導管理、在宅血液透析指導管理、在宅酸素療法指導管理、在宅中心静脈栄養法指導管理、在宅成分栄養経管栄養法指導管理、在宅自己導尿指導管理、在宅持続陽圧呼吸療法指導管理、在宅自己疼痛管理指導管理又は、在宅肺高血圧症患者指導管理を受けている状態
  • 人工肛門又は人工膀胱を設置している状態
  • 真皮を越える褥瘡の状態
  • 点滴注射を週3日以上行う必要があると認められる状態

特別管理加算(介護保険)の算定要件

算定要件
  • 特別な管理を要する利用者に対し計画的な管理を行った場合に算定する。
  • 都道府県知事等への届出は必要な情報として、「緊急時(介護予防)訪問看護加算・特別管理体制・ターミナルケア体制に係る届出書」により届出をする。
  • 特別管理加算は当該月の介護保険の給付対象となる1回目の訪問看護費に加算する。
  • 特別管理加算は(Ⅰ)と(Ⅱ)のいずれかを算定する。
  • 1人の利用者につき、1月に1つの事業所でのみ算定できます。2か所以上の事業所から訪問看護を利用する場合は、その分配は事業所相互の合議に委ねられる。
  • 介護保険の特別管理加算を算定している場合、同月に定期巡回・随時対応型訪問介護看護及び看護小規模多機能型居宅介護を利用した場合の当該サービスにおける特別管理加算、医療保険の特別管理加算は算定できません。

※真皮を越える褥瘡の状態とは

1.NPUAP(The National Pressure Ulcer Advisory Panel)分類・・・Ⅲ度又はⅣ度

2.DESIGN-R分類(日本褥瘡学会によるもの)・・・D3,D4又はD5

特別管理加算(介護保険)の注意点

注意点
  • 単にカテーテルの留置、処置のため一時的に挿入されたドレーンチューブは該当しません。排液の性状・量の観察・薬剤注入・水分バランスの計測等計画的な管理が必要な場合に算定できます。
  • 理学療法士等による訪問看護のみの場合は、特別管理加算は算定できません。
  • 特別管理加算は1人の利用者に1か所のステーションしか算定できません。費用の分配等は関わっているステーションの合議により可能です。
  • 持続陽圧呼吸療法指導管理では、睡眠時無呼吸症候群(SAS)又は慢性心不全患者に対するASVやCPAPは介護保険給付の訪問看護となります。ただし、「在宅人工呼吸指導管理料」、「人工呼吸器加算2」を算定している場合は人工呼吸器に含まれるため、医療保険での訪問看護となります。
  • 留置カテーテルとは、膀胱留置カテーテル、腎瘻・膀胱瘻の留置カテーテル、胃ろうや経鼻経管栄養のチューブ、ポートを用いた薬剤注入、腹膜透析カテーテル、24時間持続点滴注射、中心静脈栄養、経皮経胆管ドレナージチューブ(PTCDチューブ)等ドレーンチューブです。
  • 点滴注射を週3日以上行う必要があると認められる状態とは、主治医による週3日以上行う必要があるとする点滴注射の指示により、当該ステーションの看護職員が週3日以上点滴注射を実施している状態のことです。医師への点滴終了を報告し看護記録に実施事項を記載します。指示書は訪問看護指示書でもよいが、7日ごとに指示を受ける必要があります。点滴注射が月をまたぐ場合は、3日目の点滴注射実施日が属する月に特別管理加算を1回算定します。(例)4/29~5/5の期間で点滴を実施し、5/1が3日目の点滴実施日になる場合は5月に算定します。
  • 真皮を越える褥瘡の状態とは、NPUAP分類Ⅲ度又はⅣ度、DESIGN-R分類D3,D4又はD5です。訪問看護指示書において「褥瘡の深さ」の欄に主治医による記載が必要です。
  • 真皮を越える褥瘡の状態にある者に対して特別管理加算を算定する場合は、定期的(1週間に1回以上)に褥瘡の状態の観察・アセスメント・評価(褥瘡の深さ、浸出液、大きさ、炎症・感染、肉芽組織、壊死組織、ポケット)を行い、褥瘡の発生部位および実施したケアを記録し、必要に応じて利用者の家族等への指導を行うこととなっています。
  • 訪問の際に、症状が重篤であった場合は、医師の診療を受けるように支援します。
  • 1か所の訪問看護事業所で特別管理加算を算定した場合、看護小規模多機能型居宅介護や定期巡回随時対応型訪問介護看護の当該加算、医療保険の特別管理加算は算定できません。
  • 支給限度基準額に含まれない加算です。

月途中に訪問看護を終了した場合

 

1か所の事業所しか算定できないというのは分かったけど、月の途中に訪問看護を終了した場合、その後利用することになる事業所の方では算定できないの?

当初は看護事業所と後から利用することになる事業所で分配することになっていたけど、修正が入ったよ。

 

今は、月途中に利用が終了となる訪問看護事業所の方は特別管理加算の算定ができない。そして後から随時対応型訪問介護看護又は複合型サービスを利用する場合等は、後の事業所のみが特別管理加算の算定ができるということになったよ。

詳しくは最後のQ&Aを確認してね。

Q&A

Q&A
Q
「真皮を越える褥瘡の状態にある者」の特別管理加算の算定要件として「定期的に褥瘡の状態の観察・アセスメント・評価を行い~(略)~実施したケアについて訪問看護記録書に記載すること」とあるが、記録について具体的な様式は定められているのか。
A

様式は定めていない。

Q
ドレーンチューブを使用している場合は、特別管理加算を算定できないのか。
A

経皮経肝胆管ドレナージチューブなど留置されているドレーンチューブについては、留置カテーテルと同様に計画的な管理を行っている場合は算定できる。ただし、処置等のため短時間、一時的に挿入されたドレーンチューブについては算定できない。なお、定期巡回・随時対応型訪問介護看護及び複合型サービスの特別管理加算についても同様の取り扱いとなる。

Q
留置カテーテルが挿入されていれば、特別管理加算は算定できるのか。
A

留置カテーテルからの排液の性状、量などの観察、薬剤の注入、水分バランスの計測等計画的な管理を行っている場合は算定できるが、単に留置カテーテルが挿入されあているだけでは算定できない。また、輸液用のポート等が挿入されている場合であっても、訪問看護において一度もポートを用いた薬剤の注入を行っていない場合は、計画的な管理が十分に行われていないため算定できない。なお、定期巡回・随時対応型訪問介護看護及び複合型サービスの特別管理加算についても同様の取扱いとなる。

Q
「点滴注射を週3回以上行う必要があると認められる状態」として、特別管理加算を算定する場合の医師の指示は在宅患者訪問点滴注射指示書であることが必要か。
A

在宅患者訪問点滴注射指示書である必要はなく、医師の指示があったことがわかれば通常の訪問看護指示書その他の様式であっても差し支えない。ただし、点滴注射の指示については7日毎に指示を受ける必要がある。

Q
予定では週3日以上の点滴注射指示が出ていたが、利用者の状態変化等により3日以上実施できなかった場合は算定できるのか。
A

算定できない。

Q
「点滴注射を週3日以上行う必要があると認められる状態」として特別管理加算を算定する場合、週や月をまたがって週3日の要件を満たす場合はどのように取り扱うのか。
A

点滴注射を7日間の医師の指示期間に3日以上実施していれば算定可能である。例えば4/28(土)から5/4(金)までの7日間点滴を実施する指示が出た場合(指示期間*1)は、算定要件を満たす3日目の点滴を実施した4月に特別管理加算を算定する。加算は医師の指示期間につき1回算定できるが、月をまたいだ場合でも、4月、5月それぞれ3回以上点滴を実施しても両月で特別管理加算を算定することはできない。なお、上記の場合、5月中に再度点滴注射の指示(*2)があり要件を満たす場合は5月も算定可能となる。

Q
今回の改定において特別管理加算の対象者から、ドレーンチューブを使用している状態が削除されているが、ドレーンチューブを使用している状態にある利用者に訪問看護を行った場合に特別管理加算は算定できなくなったのか。
A

ドレーンチューブを使用している状態にある者は、留置カテーテルを使用している状態にある者に含まれるため、特別管理加算(Ⅰ)を算定することが可能である。

Q
経管栄養や中心静脈栄養の状態にある利用者については特別管理加算(Ⅰ)と特別管理加算(Ⅱ)のどちらを算定するのか。
A

経管栄養や中心静脈栄養の状態にある利用者は留置カテーテルを使用している状態にある者であるため、特別管理加算(Ⅰ)を算定する。

Q
特別管理加算の対象者のうち「ドレーンチューブ又は留置カテーテルを使用している状態」とされているが、流動食を経鼻的に注入している者について算定できるか。
A

算定できる。

Q
複数の事業所から訪問看護を利用する場合の特別管理加算について、「その配分は事業所相互の合議に委ねられる」とされているが、その具体的な内容について
A

特別管理加算については、1人の利用者に対し、1か所の事業所に限り算定できるが、複数の訪問看護事業所が関わっている場合は、1か所の事業所が加算を請求した後に、事業所間で協議して、各事業所の特別管理加算に係る業務の比重に応じて当該請求に係る収入を按分することになる。

Q
特別管理加算を算定するためには、緊急時訪問看護加算を算定することが要件であるか。
A

特別管理加算の算定について、緊急時訪問看護加算は要件ではないが、特別管理加算の対象者又はその家族等から電話等により看護に関する意見を求められた場合に常時対応できる体制その他必要な体制を整備していることが望ましい。

Q
理学療法士等による訪問看護のみを利用する利用者について特別管理加算は算定できるか。
A

特別管理加算については、別に厚生労働大臣が定める状態にある利用者に対して、当該状態にかかる計画的な管理を行った場合に算定するとされており、訪問看護ステーションの理学療法士等によりリハビリテーションを中心とする訪問看護のみを利用する利用者については、そうした計画的な管理が行われているとは想定されないため、一般的には、当該加算は算定できない。

Q
特別管理加算は1人の利用者につき1か所の訪問看護事業所しか算定できないが、定期巡回・随時対応型訪問介護看護又は複合型サービスを利用する場合など訪問看護事業所以外の事業所であれば同一月に複数の事業所で特別管理加算を算定できるのか。
A

訪問看護を利用中の者は、同時に定期巡回・随時対応型訪問介護看護又は複合型サービスを利用することはできないため算定できない。ただし、月の途中で訪問看護の利用を中止し、定期巡回・随時対応型訪問介護看護又は複合型サービスの利用を開始する場合等は、変更後の事業者のみ特別管理加算の算定を可能とする。なお、緊急時訪問看護加算、ターミナルケア加算、退院時共同指導加算(2回算定できる場合を除く)についても同様の取扱いとなる。

まとめ

医療保険の特別管理加算とは、微妙に算定要件などが異なります。確認しておきましょう。

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