緩和ケア、褥瘡ケア若しくは人工肛門ケア及び人工膀胱ケアに係る専門の研修を受けた看護師又は特定行為研修を終了した看護師が、指定訪問看護実施に関する計画的な管理を行った場合に、専門管理加算として、月1回、(イ)か(ロ)のどちらかを算定します。
専門管理加算(医療保険)の詳細
別に厚生労働大臣が定める基準に適合しているものとして、地方厚生局長等に届け出た訪問看護ステーションの緩和ケア、褥瘡ケア若しくは人工肛門ケア及び人工膀胱ケアに係る専門の研修を受けた看護師又は特定行為研修(※)を終了した看護師が、指定訪問看護実施に関する計画的な管理を行った場合には、専門管理加算として、月1回に限り次に掲げる区分に従い、いずれかを所定額に加算する。
※特定行為研修・・・保健師助産師看護師法第37条の2第2項第五号に規定する指定研修機関において行われる同項第一号に規定する特定行為のうち訪問看護において専門の管理を必要とする次の行為(下欄「専門管理加算(ロ)の算定要件を満たす特定行為」参照)に係る研修
イ 緩和ケア、褥瘡ケア又は人工肛門ケア及び人工膀胱ケアに係る専門の研修を受けた看護師が配置されていること。
ロ 保健師助産師看護師法第37条の2第2項第五号に規定する指定研修機関において、同項第一号に規定する特定行為のうち訪問看護において専門の管理を必要とするものに係る研修を修了した看護師が配置されていること。
第一号 特定行為
診療補助であって、看護師が手順書により行う場合には、実践的な理解力、思考力及び判断力並びに高度かつ専門的な知識及び技能が特に必要とされるものとして厚生労働省令で定めるものをいう。
第五号 指定研修機関
一又はニ以上の特定行為区分に係る特定行為研修を行う学校、病院その他の者であって、厚生労働大臣が指定するものをいう。
専門管理加算(医療保険)の算定金額
専門管理加算(イ)・・・2500円/月
専門管理加算(ロ)・・・2500円/月
専門管理加算(医療保険)の算定要件
- 厚生労働大臣が定める基準に適合しているものとして、地方厚生局長等に届け出を行っていること。
- 専門管理加算(イ)は、緩和ケア、褥瘡ケア又は人工肛門及び人工膀胱ケアに係る専門の研修を受けた看護師が計画的な管理を行った場合(悪性腫瘍の鎮痛療法若しくは化学療法を行っている利用者、真皮を越える褥瘡の状態にある利用者(医科点数表の区分番号C013に掲げる在宅患者訪問褥瘡管理指導料を算定する場合にあっては真皮までの状態の利用者)又は人工肛門若しくは人工膀胱を造設している者で管理が困難な利用者に対して行った場合に限る)。
- 専門管理加算(イ)は、緩和ケア、褥瘡ケア又は人工肛門ケア及び人工膀胱ケアに係る専門の研修を受けた看護師が配置されていること。なお、ここでいう緩和ケアに係る専門の研修とは下欄「専門管理加算(イ)の要件を満たす研修」の(1)の要件を、褥瘡ケアに係る専門の研修とは下欄「専門管理加算(イ)の要件を満たす研修」の(2)の要件を、人工肛門ケア及び人工膀胱ケアに係る専門の研修とは下欄「専門管理加算(イ)の要件を満たす研修」の(3)の要件を満たすものであること。
- 専門管理加算(ロ)は、特定行為研修を修了した看護師が計画的な管理を行った場合(医科点数表の区分番号C007の注3又は区分番号I012-2の注3に規定する手順書加算を算定する利用者に対して行った場合に限る。)
- 専門管理加算(ロ)は、保健師助産師看護師法37条の2第2項第五号に規定する指定研修機関において、同項第一号に規定する特定行為のうち訪問看護において専門の管理を必要とするもの(※下欄「専門管理加算(ロ)の要件を満たす特定行為」参照)に係る研修を修了した看護師が配置されていること。
専門管理加算種別 | 利用者要件 | 看護師要件 | 管理要件 |
---|---|---|---|
(イ) 2500円/月 | ・悪性腫瘍の鎮痛療法若しくは化学療法を行っている利用者、真皮を越える褥瘡の状態にある利用者(医科点数表の区分番号C013に掲げる在宅患者訪問褥瘡管理指導料を算定する場合にあっては真皮までの状態の利用者) ・人工肛門若しくは人工膀胱周囲の皮膚にびらん等の皮膚障害が継続若しくは反復して生じている状態にある利用者又は人工肛門若しくは人工膀胱のその他の合併症を有する利用者 | 緩和ケア、褥瘡ケア又は人工肛門ケア及び人工膀胱ケアに係る専門の研修を受けた看護師 | 看護師要件を満たす看護師が、月1回以上指定訪問看護を行うとともに、当該利用者に係る指定訪問看護の実施に関する計画的な管理を行うこと。 |
(ロ) 2500円/月 | ・医科点数表の区分番号C007の注3又は区分番号I012-2(※)の注3に規定する手順書加算を算定する利用者 | 特定行為研修を修了した看護師 | 看護師要件を満たす看護師が、月1回以上指定訪問看護を行うとともに、当該利用者に係る指定訪問看護の実施に関する計画的な管理を行うこと。 |
※ 区分番号I012-2は、精神科訪問看護指示料
当該訪問看護ステーションにおいて、緩和ケア、褥瘡ケア又は人工肛門ケア及び人工膀胱ケアを行うにつき、専門の研修を受けた看護師が配置されていること。なお、ここでいう緩和ケアに係る専門の研修とは、(1)の、褥瘡ケアに係る専門の研修とは(2)の、人工肛門ケア及び人工膀胱ケアに係る専門の研修とは(3)のいずれの要件も満たすものであること。
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(1) 緩和ケアに係る専門の研修
ア 国又は医療関係団体等が主催する研修であること。(600時間以上の研修機関で、終了証が交付されるもの)
イ 緩和ケアのための専門的な知識・技術を有する看護師の養成を目的とした研修であること。
ウ 講義及び演習により、次の内容を含むものであること。
(イ) ホスピスケア・疼痛緩和ケア総論及び制度等の概要
(ロ) 悪性腫瘍又は後天性免疫不全症候群のプロセスとその治療
(ハ) 悪性腫瘍又は後天性免疫不全症候群患者の心理過程
(ニ) 緩和ケアのためのアセスメント並びに症状緩和のための支援方法
(ホ) セルフケアへの支援及び家族支援の方法
(ヘ) ホスピス及び疼痛緩和のための組織的取組とチームアプローチ
(ト) ホスピスケア・緩和ケアにおけるリーダーシップとストレスマネジメント
(チ) コンサルテーションの方法
(リ) ケアの質を保つためのデータ収集・分析等について
(ヌ) 実習により、事例に基づくアセスメントとホスピスケア・緩和ケアの実践
(2) 褥瘡ケアに係る専門の研修
ア 国又は医療関係団体等が主催する研修であって、必要な褥瘡等の創傷ケア知識・技術が習得できる600時間以上の研修期間で、終了証が交付されるもの。
イ 講義及び演習等により、褥瘡予防管理のためのリスクアセスメント並びにケアに関する知識・技術の習得、コンサルテーション方法、質保証の方法等を具体例に基づいて実施する研修
(3) 人工肛門ケア及び人工膀胱ケアに係る専門の研修
ア 国又は医療関係団体等が主催する研修であって、必要な人工肛門及び人工膀胱のケアに関する知識・技術が習得できる600時間以上の研修期間で終了証が交付されるもの。
イ 講義及び演習等により、人工肛門及び人工膀胱管理のための皮膚障害に関するアセスメント並びにケアに関する知識・技術の習得、コンサルテーション方法、質保証の方法等を具体例に基づいて実施する研修
次の行為に係る研修を修了した看護師であること。
- 気管カニューレの交換
- 胃ろうカテーテル若しくは腸ろうカテーテル又は胃ろうのボタンの交換
- 膀胱ろうカテーテルの交換
- 褥瘡又は慢性創傷の治療における血流のない壊死組織の除去
- 創傷に対する陰圧閉鎖療法
- 持続点滴中の高カロリー輸液の投与量
専門管理加算(医療保険)の注意点
- 介護保険の専門管理加算を算定する月は、医療保険の専門管理加算は算定できません。
- (イ)か(ロ)のどちらかを、月1回に限り算定します。
- 専門管理加算を算定する月は、必ず専門性の高い看護師が月1回以上、訪問看護を行っている必要があります。
Q&A
- Q専門管理加算の(イ)の場合において求める看護師の「緩和ケア、褥瘡ケア又は人工肛門及び人工膀胱ケアに係る専門の研修」には、具体的にはそれぞれどのようなものがあるか。
- A
現時点では以下の研修が該当する。
①褥瘡ケアについては、日本看護協会の認定看護師教育課程「皮膚・排泄ケア」
②緩和ケアについては、
・日本看護協会の認定看護師教育課程「緩和ケア」、「乳がん看護」、「がん放射線療法看護」及び「がん薬物療法看護」
・日本看護協会が認定している看護系大学院の「がん看護」の専門看護師教育課程
③人工肛門及び人工膀胱ケアについては、日本看護協会の認定看護師教育課程「皮膚・排泄ケア」
- Q専門管理加算の(ロ)の場合において求める看護師の「特定行為のうち訪問看護において専門の管理を必要とするものに係る研修」には、具体的にどのようなものがあるか。
- A
現時点では、特定行為に係る看護師の研修制度により厚生労働大臣が指定する指定研修機関において行われる以下の研修が該当する。
①「呼吸器(長期呼吸療法に係るもの)関連」、「ろう孔管理関連」、「創傷管理関連」及び「栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連」のいずれかの区分の研修
②「在宅・慢性期領域パッケージ研修」
- Q「疑義解釈資料の送付について(その1)」(令和4年3月31日事務連絡)別添1の問87等において、施設基準で求める看護師の研修として「特定行為に係る看護師の研修制度により厚生労働大臣が指定する指定研修機関において行われる領域パッケージ研修」のいずれかが該当するとされているが、当該パッケージ研修に含まれる特定行為区分の研修をすべて終了している場合は、当該要件を満たしてるとみなして差し支えないか。
- A
差し支えない。
- Q専門管理加算を算定する利用者について、専門性の高い看護師による訪問と他の看護師等による訪問を組み合わせて指定訪問看護を実施してよいか。
- A
よい。ただし、専門管理加算を算定する月に、専門性の高い看護師が1回以上指定訪問看護を実施していること。
- Q専門管理加算について、例えば、褥瘡ケアに係る専門の研修を受けた看護師と、特定行為研修を修了した看護師が、同一月に同一利用者に対して、褥瘡ケアに係る管理と特定行為に係る管理をそれぞれ実施した場合であっても、月1回に限り算定するのか。
- A
そのとおり。イ又はロのいずれかを月1回に限り算定すること。
まとめ
医療保険では精神科訪問の利用者も対象となっていますが、介護保険の専門管理加算とほぼ同じです。
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