虐待の発生の有無に関係なく、虐待防止措置を講じていない場合の減算です。
高齢者虐待防止措置未実施減算(介護保険)の詳細
別に厚生労働大臣が定める基準を満たさない場合は、所定単位数の100分の1に相当する単位数を所定単位数から減算する。
指定居宅サービス等基準第74条において準用する指定居宅サービス等基準第37条の2に規定する基準に適合していること。
指定訪問介護事業者は、虐待の発生又はその再発を防止するため、次の各号に掲げる措置を講じなければならない。
一 当該指定訪問介護事業所における虐待の防止のための対策を検討する委員会(テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。)を定期的に開催するとともに、その結果について、訪問介護員等に周知徹底を図ること。
ニ 当該指定訪問介護事業所における虐待の防止のための指針を整備すること。
三 当該指定訪問介護事業所において、訪問介護員等に対し、虐待の防止のための研修を定期的に実施すること。
四 前三号に掲げる措置を適切に実施するための担当者を置くこと。
高齢者虐待防止措置未実施減算(介護保険)の算定金額
高齢者虐待防止措置未実施減算・・・所定単位数の100分の1を減算
※ 利用者全員に適用されます。
高齢者虐待防止措置未実施減算(介護保険)の算定要件
- 事業所において高齢者虐待が発生した場合ではなく、指定居宅サービス等基準第37条の2に規定する措置を講じていない場合に、利用者全員について所定単位数から減算することとなる。
- 具体的には、高齢者虐待防止のための対策を検討する委員会を定期的に開催していない、高齢者虐待防止のための年1回以上の研修を実施していない又は高齢者虐待防止措置を適正に実施するための担当者を置いていない事実が生じた場合、速やかに改善計画を都道府県知事に提出した後、事実が生じた月から3月後に改善計画に基づく改善状況を都道府県知事に報告することとし、事実が生じた月の翌月から改善が認められた月までの間について、利用者全員について所定単位数から減算することとする。
高齢者虐待防止措置未実施減算(介護保険)の注意点
- 委員会の開催、指針の整備、研修の定期的な実施、担当者を置くことのどれか一つでも実施してない場合は減算となります。
- すべての利用者が減算の対象となります。
- 介護予防訪問看護も同様です。
Q&A
- Q高齢者虐待が発生していない場合においても、虐待の発生又はその再発を防止するためのすべての措置(委員会の開催、指針の整備、研修の定期的な実施、担当者を置くこと)がなされていなければ減算の適用となるのか。
- A
減算の適用となる。なお、すべての措置の一つでも講じられていなければ減算となることに留意すること。
- Q運営指導等で行政機関が把握した高齢者虐待防止措置が講じられていない事実が、発見した日の属する月より過去の場合、遡及して当該減算を適用するのか。
- A
過去に遡及して当該減算を適用することはできず、発見した日の属する月が「事実が生じた月」となる。
- Q高齢者虐待防止措置未実施減算については、虐待の発生又はその再発を防止するためのすべての措置(委員会の開催、指針の整備、研修の定期的な実施、担当者を置くこと)がなされていない事実が生じた場合、「速やかに改善計画を都道府県知事に提出した後、事実が生じた月から3月後に改善計画に基づく改善状況を都道府県知事に報告することとし、事実が生じた月の翌月から改善が認められた月までの間について、入居者全員について所定単位数から減算することとする。」こととされているが、施設・事業所からの改善計画が提出されない限り、減算の措置を行うことはできないのか。
- A
改善計画の提出の有無に関わらず、事実が生じた月の翌月から減算の措置を行って差し支えない。当該減算は、施設・事業所から改善計画が提出され、事実が生じた月から3か月以降に当該計画に基づく改善が認められた月まで継続する。
- Q居宅療養管理指導や居宅介護支援などの小規模な事業者では、実質的に従業者が1名だけということがあり得る。このような事業所でも虐待防止員会の開催や研修を定期的にしなければならないのか。
- A
・虐待はあってはならないことであり、高齢者の尊厳を守るため、関係機関との連携を密にして、規模の大小に関わりなく虐待防止委員会及び研修を定期的に実施していただきたい。小規模事業所においては他者・他機関によるチェック機能が得られにくい環境にあることが考えられることから、積極的に外部機関等を活用されたい。
・例えば、小規模事業所における虐待防止委員会の開催に当たっては、法人内の複数事業所による合同開催、感染症対策委員会等他委員会との合同開催、関係機関等の協力を得て開催することが考えられる。
・研修の定期的実施にあたっては、虐待防止委員会同様法人内の複数事業所や他委員会との合同開催、都道府県や市町村等が実施する研修会への参加、複数の小規模事業所による外部講師を活用した合同開催等が考えられる。
・なお、委員会や研修を合同で開催する場合は、参加した各事業所の従業者と実施したことの内容等が記録で確認できるようにしておくことに留意すること。
・また、小規模事業所等における委員会組織の設置と運営や、指針の策定、研修の企画と運営に関しては、以下の資料の参考例(※)を参考にされたい。
※社会福祉法人東北福祉会認知症介護研究・研修仙台センター「施設・事業所における高齢者虐待防止のための体制整備ー令和3年度基準省令改正等に伴う体制整備の基本と参考例」
まとめ
虐待防止措置の詳細については、運営基準の虐待防止を参照してください。
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