訪問時間と単位数について(介護保険)

介護保険
この記事は約7分で読めます。

介護保険の訪問看護では、医療保険のように週3日しか訪問できないとか、原則1か所のステーションからしか訪問看護を提供できないといった制限はありません。

毎日3回以上訪問することもできるうえ、複数のステーションから訪問看護を受けることができます。

ただし、給付管理限度額が決まっており、その単位数の中で訪問することになります。さらに、給付管理限度額には、訪問介護や福祉用具など、他の介護保険サービスもまとめて管理されますので、その範囲内でしか訪問することができません。

その他、以下のように介護保険ならではの制限事項もあります。

訪問時間と単位数について

訪問時間は計画時間が基準

訪問看護に要した時間により単価(単位数)が決まっていますが、実際の訪問に要した時間ではなく、訪問看護計画書およびケアプラン(提供票)に位置付けられた時間で所定単位数を算定します。

ということは、30分以上の訪問で計画されていたけど、実際に行ってみたら利用者が体調不良で嘔吐とかしちゃって、1時間以上かかった場合でも、計画通り30分以上でしか算定できないの?

ちゃんと理由があるなら、ケアマネさんに連絡してケアプラン(提供票)の方を変更してもらえばいいよ。訪問記録はきちんと書いてね。

急変等で計画外の訪問看護を行う場合も、ケアマネージャーに連絡して、計画の変更をしてもらうよ。

訪問間隔は2時間以上空ける必要がある(2時間ルール)

訪問看護は在宅の要介護者の生活パターンや看護の必要性に合わせて提供されるべきものですから、単に長時間の訪問を複数回に分けてはいけないということになっています。

そのため、原則として前回の訪問看護から2時間以上経過してから次の訪問を行うことになっています。もし、2時間経過しないうちに次の訪問を行う場合には、前回の訪問時間と次の訪問時間を合算した単位数で請求することになります。

20分未満の訪問看護と緊急時の訪問看護、職種が異なる訪問看護は、2時間ルールの適用外

例外として、20分未満の訪問看護と急変等で行う緊急訪問については、前回の訪問から2時間空いていなくても合算しないことになっています。

また、保健師・看護師・准看護師が訪問した後、2時間空けずに理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が訪問した場合も合算しません。逆の場合も同じです。

保健師・看護師が訪問した後、2時間空けずに准看護師が訪問した場合、合算した時間は准看護師の単価で算定することになります(逆の場合も同様)。つまり、合算した時間に准看護師の訪問が含まれる場合には、准看護師の訪問単価になります。

緊急時の訪問は合算しなくていいのは当然として、20分未満や職種が違う訪問も2時間空いてなくてOkってことは、連続して訪問してもいいってことよね?

そういうことだね。でも、ケアプラン(提供票)に計画されていないとダメだからね。

ちなみに、医療保険の訪問看護に2時間ルールはないよ。

Q&A
Q
医療保険の訪問看護では、週3日の回数制限や2か所以上のステーションから訪問看護を受けられない等の制限があるが、介護保険においてはこうした制限はあるか。
A

介護保険の訪問看護については、週当たりの訪問回数に特段の制限はなく、また、2か所のステーションから訪問看護の提供を受けることも可能である。

Q
緊急時訪問看護加算を組み込んでいない場合であって、計画外の訪問看護を行った場合に、居宅サービス計画の変更で介護保険から給付されるか。
A

貴見のとおり。

Q
サービス提供時間が1時間30分を超過する場合の費用の算定方法について
A

1時間30分を超過する場合については、訪問看護ステーションが定めた利用料を徴収できる。

Q
70分の訪問を行った後、2時間以内に40分の訪問を実施した場合はどのように報酬を算定するのか。
A

1時間以上1時間半未満の報酬を算定する。

20分未満の訪問看護

20分未満の訪問看護の要件

20分未満の訪問看護については、24時間指定訪問看護を提供できる体制が整っている訪問看護事業所(緊急時訪問看護加算の届出をしている事業所)であって、かつ、20分以上の訪問看護が週1回以上、ケアプラン(提供票)や訪問看護計画に位置付けられている場合に算定できます。

20分未満の訪問看護は、短時間かつ頻回な医療処置が必要な利用者に対し、日中等の訪問看護における十分な観察、必要な助言・指導が行われることを前提として行われるものです。

そのため、ケアプランや訪問看護計画の中に20分以上の保健師又は看護師による訪問看護が週1回以上、位置付けられている必要があります。また、この20分未満の訪問看護については、2時間ルールは適用されません。

週1回以上、20分以上の訪問看護が必要ってことだけど、訪問看護を開始した日が土曜日だったらどうするの?20分未満の訪問はできないってこと?

ケアプラン(提供票)や訪問看護計画に20分以上の訪問看護が位置付けられていれば、実際には20分未満の訪問看護だけになった週があっても問題ないよ。

Q&A
Q
「所要時間20分未満」の訪問看護で想定している看護行為は具体的にどのようなものか。
A

気管内吸引、導尿や経管栄養等の医療処置の実施等を想定している。なお、単に状態確認や健康管理等のサービス提供の場合は算定できない。また、高齢者向けの集合住宅において、単に事業所の効率の向上のみを理由として、利用者の状態等を踏まえずに本来20分以上の区分で提供すべき内容の訪問看護を複数回に分け提供するといった取扱いは適切ではない。

Q
20分未満の報酬を算定する場合は緊急時訪問看護加算も併せて算定する必要があるのか。
A

緊急時訪問看護加算の体制の届出をしていることを要件としており、緊急時訪問看護加算を算定している必要はない。

Q
1日に複数回の訪問看護を実施する場合、訪問看護終了後2時間以上経過していなければ必ず所要時間を合算するのか。
A

20分未満の訪問看護と計画外で緊急に訪問看護を実施した場合は合算しない。

また、おおむね2時間としており、例えば計画上は、2時間後に訪問する予定であったが、点滴注射等が早めに終了した等の理由で、若干時間に変動があった場合等は計画通りの報酬を算定する。

単位数計算や算定に関する事項

単位数の計算や、保険算定できるかできないかについては、利用者やケアマネさんから尋ねられる場合があります。

自分の事業所の加算や、算定できるかできないかは、サービスが提供できるかできないかに直結します。担当者会議に出席していないレセプト担当者や事務員に、いちいち確認するわけにもいきません。

管理者は、これらの内容についても、きちんと把握しておく必要があります。

また、加算の算定要件になっていたり、定期報告書類の作成などをしなければならない場合もありますので、常勤換算とは何かというようなことも知っておく必要があります。

単位数の計算について

介護保険の単位数

医療保険では1単位が10円と決まっていますが、介護保険では、1単位が10円の地域とそれ以外の地域があります。等級地表があるため、それに基づいて1単位の料金を計算することになります。

介護保険では、訪問時間や職種によって、訪問単価(単位数)が決まっています。その単位数に1単位の単価を掛けたものが実際の支払金額となります。1円未満の端数が出た場合は切り捨てとなります。

単位数同士で計算する場合、1単位未満の端数は、その都度四捨五入することになります。

例えば、訪問介護事業所の場合であれば、30分以上の訪問介護(387単位)を夜間や早朝に行った場合、25%が加算されるので、387×1.25=483.75単位ですが、1単位未満は四捨五入されますので、484単位となります。

そして、特定事業所加算Ⅳを算定している事業所であれば、3%が加算されますので、484×1.03=498.52単位となり、四捨五入するため、499単位となります。

このように常に整数の単位数に加算(%)を掛けていく形になります。

ただし、支給限度管理外の加算や、同一建物減算などは、所定単位数を合計したものにその加算(%)を掛けて算出します。

通常は介護ソフトなどで自動的に計算されますが、どのような計算方法になっているかについては、知っておいていただく必要があります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました