
管理者は法令等を直接読んで、確認しなければならないこともあります。
そんなときに、スムーズに調べることができるように、最低限の知っておくべき内容を書いていくよ。
介護保険の訪問看護とは
居宅にいる介護保険の介護認定を受けている者(要介護者・要支援者)であって、通院が困難で、主治医が訪問看護の必要性を認めて訪問看護指示書が交付された者です。
ただし、末期の悪性腫瘍等、その他別に厚生労働大臣が定める疾病等(利用者告示第四号⇒特掲施設基準別表7と同内容)の患者、急性増悪により一時的に頻回の訪問看護が必要である旨の特別訪問看護指示書が交付された患者は除きます。
介護保険法の規定により訪問看護の給付を受けることができるときは、医療保険では行わないことになっています。ただし、精神障碍者(精神科を標榜する医療機関の精神科主治医より精神科訪問看護指示書が出た者)の場合は、医療保険で訪問看護を行います。
また、利用者が短期入所サービスや地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護を受けている間は、訪問看護費を算定できません。
- 介護保険の訪問看護では、訪問間隔を2時間以上空ける必要があります。ただし、緊急訪問と20未満の訪問看護は、訪問間隔が2時間空いていなくても問題ありません。
- 緊急訪問と20分未満の訪問以外で、訪問間隔が2時間未満の場合は、所要時間を合算します。
- 理学療法士等の訪問と看護職員の訪問は、2時間未満であっても職種が違うので、所要時間を合算しません。
- 複数のステーションから訪問することができます。
- 毎日でも、1日に5回でも訪問でき、訪問回数に制限はありません(※理学療法士等を除く)。ただし、支給限度基準額の範囲内になります。また、ケアプランに位置付けられている必要があります。
- 要支援1,2の利用者に訪問看護を行う場合、介護予防訪問看護費になります。加算なども要介護の場合とは異なることがありますので、注意が必要です。
- 要介護1~5の利用者に訪問看護を行う場合、訪問看護費となります。
- 介護保険の理学療法士等による訪問は、週6回までの制限があります。
- 20分未満の訪問看護を行う場合、週1回以上は20分以上の保健師または看護師による訪問看護が必要です。
医療保険の訪問看護とは
医療保険の指定訪問看護の対象となるのは、
40歳未満の者、40歳以上65歳未満の16特定疾病患者以外の者、40歳以上の16特定疾病患者または65歳以上の者であって、要介護者・要支援者でない者
となっています。
また、要介護者等であっても、
①末期の悪性腫瘍な難病患者(利用者等告示第四号に定める疾病等の患者※別表7該当者)
②特別訪問看護指示書が交付された場合
③精神科訪問看護の対象者
以上の方は医療保険での訪問看護となります。
- 介護保険の訪問看護のように、訪問間隔を2時間空ける必要はありません。
- 基本的に週3日しか訪問できません。
- 基本的に1日1回しか訪問できません。
- 基本的に1か所のステーションからしか訪問できません。
- 介護認定を受けている方は、基本的に介護保険による訪問看護が優先されます。
- 最大で1日に3回の訪問までしか、保険請求できません。
難病受給者証を持っている利用者

難病受給者証を持っている要介護5の利用者がいるんだけど、この方は医療保険で訪問するのかな?

難病受給者証があるかないかは関係ないよ。医療保険になるかどうかは、主治医が別表7の病状に該当すると診断した場合、もしくは特別訪問看護指示書が交付された場合、あるいは、精神科を標ぼうする医療機関の精神科主治医から精神科訪問看護指示書を交付された場合だよ。
訪問看護療養費(医療保険)のカウントの仕方
- 医療保険では、週3日の訪問が限度。この週3日は、通常の訪問看護と精神科訪問看護の日数を合算して3日が限度となります。
- 訪問看護は1回の訪問につき、30分~90分程度を標準とします。ただし、28分、29分だから直ちに違法というものではありません。訪問看護計画上、30分程度の内容であれば、実際には29分で訪問を終えていても、算定可能です。
- 理学療法士等の訪問と看護師の訪問は併せてカウントする。
- 基準告示第2の1に規定する利用者(⇒別表7,8の該当者のこと)と特別訪問看護指示書の対象者については、毎日でも、1日3回でも訪問できます。
- 介護認定(要介護・要支援)を受けている利用者については、特別訪問看護指示書の対象者と利用者等告示の四に該当する利用者(⇒別表7の利用者に同じ)のみ、毎日でも1日3回でも訪問できます。※別表8に該当するだけの利用者は介護保険で算定します。
通常の訪問と精神科訪問は、併せてカウントする
基準告示第2の1に規定する利用者(⇒別表7,8の利用者のこと)ではない場合に、週の途中に精神疾患により、主治医が精神科を標ぼうする精神科主治医に変更になり、精神科訪問看護指示書が出た場合、その週にすでに通常の訪問看護を2日行っていた場合、その週の精神科訪問看護は1日しか訪問できません。
理学療法士等の訪問と看護師の訪問は、続けてカウントする
基準告示第2の1に規定する利用者(⇒別表7,8の利用者のこと)の場合に、3日目までは理学療法士等が訪問した後、4日目に看護師が訪問する場合、4日目以降の金額(6550円)を算定します。

看護師の3日目までの報酬額と理学療法士等の報酬額は同じよね。
そして、4日目以降の理学療法士等の金額が変わらないけど、看護師は増えるよね。
ということは、3日目までは全員、理学療法士等が訪問して、4日目以降は全員看護師が訪問するようにしたら、効率いいってことよね?

職種で分けずに訪問日数を合算するからそういうことだね。
でもそのために増やす必要のないスタッフを増やしていたら、逆効果だけどね。
別表7,8とは
医療保険では、通常、週3日までしか訪問できませんが、基準告示第2の1「指定訪問看護に係る厚生労働大臣の定める疾病等」に該当する利用者は、週4日以上の訪問が可能となります。
この基準告示第2の1「指定訪問看護に係る厚生労働大臣の定める疾病等」の中身は、次の特掲診療科の施設基準等「別表7」に掲げる疾病等の者と特掲診療科の施設基準等「別表8」に掲げる者になります。
この別表7の内容は、介護認定を受けている方が医療保険の対象となる利用者等告示第四号に定める疾病等の患者に該当します。また、別表8は特別管理加算の算定要件に該当します。
また、別表7,8の場合、2か所のステーション(週7日の訪問看護計画では3か所)の算定が可能です。
※睡眠時無呼吸症候群(SAS)に対するASVやCPAPは人工呼吸器に含まれません。
- 末期の悪性腫瘍
- 多発性硬化症
- 重症筋無力症
- スモン
- 筋萎縮性側索硬化症
- 脊髄小脳変性症
- ハンチントン病
- 進行性筋ジストロフィー症
- パーキンソン病関連疾患(進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、パーキンソン病(ホーエンヤール重症度分類がステージ3以上であって生活機能障害度がⅡ度またはⅢ度のものに限る))
- 多系統萎縮症(綿条体黒質変性症、オリーブ橋小脳萎縮症、シャイ・ドレーガー症候群)
- プリオン病
- 亜急性硬化性全脳炎
- ライソゾーム病
- 副腎白質ジストロフィー
- 脊髄性筋萎縮症
- 球脊髄性筋萎縮症
- 慢性炎症性脱髄性多発神経炎
- 後天性免疫不全症候群
- 頸髄損傷
- 人工呼吸器を使用している状態の者(慢性心不全の患者で「在宅人工呼吸指導管理」、「人工呼吸器管理加算の2」を算定している場合はこの「人工呼吸器」に該当する)
- 在宅麻薬等注射指導管理を受けている状態にある者
- 在宅腫瘍化学療法注射指導管理を受けている状態にある者
- 在宅強心剤持続投与指導管理を受けている状態にある者
- 在宅気管切開患者指導管理を受けている状態にある者
- 気管カニューレを使用している状態にある者
- 留置カテーテルを使用している状態にある者
- 在宅自己腹膜灌流指導管理を受けている状態にある者
- 在宅血液透析指導管理を受けている状態にある者
- 在宅酸素療法指導管理を受けている状態にある者
- 在宅中心静脈栄養法指導管理を受けている状態にある者
- 在宅成分栄養経管栄養法指導管理を受けている状態にある者
- 在宅自己導尿指導管理を受けている状態にある者
- 在宅人工呼吸指導管理を受けている状態にある者
- 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理を受けている状態にある者
- 在宅自己疼痛管理指導管理を受けている状態にある者
- 在宅肺高血圧症患者指導管理を受けている状態にある者
- 人工肛門または人工膀胱を設置している状態にある者
- 真皮を越える褥瘡の状態にある者
- 在宅患者訪問点滴注射管理指導料を算定している者
「看護師等」とは
介護保険において、看護師等とは、以下の職種になります。
- 保健師
- 看護師
- 准看護師
- 理学療法士
- 作業療法士
- 言語聴覚士
医療保険において、看護師等とは、以下の職種になります。
- 保健師
- 助産師
- 看護師
- 准看護師
- 理学療法士
- 作業療法士
- 言語聴覚士
「看護職員」とは
介護保険において、看護職員とは、以下の職種になります。
- 保健師
- 看護師
- 准看護師
医療保険において、看護職員とは、以下の職種になります。
- 保健師
- 助産師
- 看護師
- 准看護師

介護保険のスタッフに加えて、医療保険では助産師が入るんだね。
医療保険における「特別の関係」とは
ア 当該保険医療機関等と他の保険医療機関等の関係が以下のいずれかに該当する場合に、当該保険医療機関等と当該他の保険医療機関等は特別の関係にあると認められる。
(イ)当該保険医療機関等の開設者が、当該他の保険医療機関等の開設者と同一の場合
(ロ)当該保険医療機関等の代表者が、当該他の保険医療機関等の代表者と同一の場合
(ハ)当該保険医療機関等の代表者が、当該他の保険医療機関等の代表者の親族等の場合
(ニ)当該保険医療機関等の理事・幹事・評議員その他の役員のうち、当該他の保険医療機関等の役員等の親族等の占める割合が10分の3を超える場合
(ホ)(イ)から(ニ)までに掲げる場合に準ずる場合(人事、資金等の関係を通じて、当該保険医療機関等が、当該他の保険医療機関等の経営方針に対して重要な影響を与えることができると認められる場合に限る。)
イ 「保険医療機関等」とは、保険医療機関である病院もしくは診療所、介護老人保健施設または指定訪問看護事業者をいう。
ウ 「親族等」とは、親族関係を有する者及び以下に掲げる者をいう。
(イ)事実上の婚姻関係と同様の事情にある者
(ロ)使用人及び使用人以外の者で当該役員等から受ける金銭その他の財産によって生計を維持しているもの
(ハ)(イ)または(ロ)に掲げる者の親族でこれらの者と生計を一しているもの

え~と・・・、それで結局、特別の関係ってどういうことなの?

要するに医療機関同士が身内の関係にあるってことだね。
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