24時間対応体制加算は、必要時の緊急訪問看護に加えて、営業時間外における利用者や家族等との電話連絡及び利用者又はその家族等への指導等による日々の状況の適切な管理といった対応やその体制整備を評価するものです。
また、24時間対応体制加算における看護業務の負担軽減の取組を行っている場合とは、訪問看護ステーションにおける看護師等の働き方改革及び持続可能な24時間対応体制の確保を推進するために、看護業務の負担軽減に資する十分な業務管理等の体制が整備されていることをいうものです。
24時間対応体制加算(医療保険)の詳細
別に厚生労働大臣が定める基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た訪問看護ステーションが、利用者またはその家族等に対して当該基準に規定する24時間の対応体制にある場合(指定訪問看護を受けようとする者の同意を得た場合に限る)には、24時間対応体制加算として次に掲げる区分に従い、月1回に限り、いずれかを所定額に加算する。ただし、当該月において、当該利用者について他の訪問看護ステーションが24時間対応体制加算を算定している場合は、算定しない。
利用者又はその家族等から電話等により看護に関する意見を求められた場合に常時対応できる体制にあること。
24時間対応体制加算(医療保険)の算定金額
・イ 24時間対応体制における看護業務の負担軽減の取組を行っている場合・・・6800円/月
・ロ イ以外の場合・・・6520円/月
24時間対応体制における看護業務の負担軽減の取組
24時間対応体制加算のイを算定する場合、次に掲げる24時間対応体制における看護業務の負担軽減の取組に関する内容のうち、アまたはイを含む2項目以上を満たしていること。
ア 夜間対応した翌日の勤務間隔の確保
イ 夜間対応に係る勤務の連続回数が2連続(2回)まで
ウ 夜間対応後の暦日の休日確保
エ 夜間勤務のニーズを踏まえた勤務体制の工夫
オ ICT、AI,IoT等の活用による業務負担軽減
カ 電話等による連絡及び相談を担当する者に対する支援体制の確保
アからウまでにおける「夜間対応」とは、当該訪問看護ステーションの運営規定に定める営業日及び営業時間以外における必要時の緊急時訪問看護や、利用者又はその家族等からの電話連絡を受けて当該者への指導を行った場合とし、単に勤務時間割表等において営業日及び営業時間外の対応が割り振られているが夜間対応がなかった場合等は該当しない。また、翌日とは、営業日及び営業時間外の対応の終了時刻を含む日をいう。
イにおける「夜間対応に係る勤務の連続回数」は、夜間対応の開始から終了までの一連の対応を1回として考える。なお、専ら夜間対応に従事する者は含まないものとする。また、夜間対応と次の夜間対応との間に暦日の休日を挟んだ場合は、休日前までの連続して行う夜間対応の回数を数えることとするが、暦日の休日に夜間対応をした場合には当該対応を1回と数えることとし、暦日の休日前までの夜間対応と合算して夜間対応の回数を数えること。
エの「夜間勤務のニーズを踏まえた勤務体制の工夫」は、単に従業者の希望に応じた夜間対応の調整をする場合等は該当しない。
オの「ICT,AI,IoT等の活用による業務負担軽減」は、例えば、看護記録の音声入力、情報通信機器を用いた利用者の自宅等での電子カルテの入力、医療情報連携ネットワーク等のICTを用いた関係機関との利用者情報の共有、ICTやAIを活用した業務管理や職員間の情報共有等であって、業務負担軽減に資するものが想定される。単に電子カルテを用いていること等は該当しない。
カの「電話等による連絡及び相談を担当する者に対する支援体制の確保」は、例えば、24時間対応体制に係る連絡相談を担当する者からの対応方法等に係る相談を受けられる体制等が挙げられる。
夜間対応した翌日の勤務間隔の確保と連続2回まで

夜間対応した翌日の勤務間隔の確保と連続2回までのどちらかが必須条件だけど、要するに休みを入れなさいってこと?

まあ、そうだね。勤務間隔の確保では、夜間対応の後は遅出にするなどの配慮が必要になるよ。
夜間対応の連続の場合は、丸一日の休みを入れないと回数のカウントがリセットされないよ。

24時間対応体制加算(医療保険)の算定要件
- 利用者又はその家族等から電話等により看護に関する意見を求められた場合に常時対応できる体制にある場合であって、緊急時訪問看護を必要に応じて行う体制にあるものとして、地方厚生局長に届け出していること。
- 看護職員(准看護師を除く。)が指定訪問看護を受けようとする利用者に対して当該体制にある旨を説明し、その同意を得ていること。
- 月1回に限り算定できる。
- 利用者への説明にあたっては、利用者に対して訪問看護ステーションの名称、所在地、電話番号並びに時間外及び緊急時の連絡方法を記載した文書を交付すること。
- 1人の利用者に対して1つの訪問看護ステーションにおいてのみ算定できる。このため、利用者に対して、他の訪問看護ステーションから、24時間対応体制加算係る指定訪問看護を受けていないかを確認すること。
- 24時間対応体制に係る連絡相談を担当する者は原則として、当該訪問看護ステーションの保健師又は看護師とし、勤務体制等を明確にすること。ただし、次のいずれにも該当し、24時間対応体制に係る連絡相談に支障がない体制を構築している場合には、24時間対応体制に係る連絡相談を担当する者について、当該訪問看護ステーションの保健師又は看護師以外の職員(以下この項において「看護師等以外の職員」とする。)でも差し支えない。
ア 看護師等以外の職員が利用者又はその家族等からの電話等による連絡及び相談に対応する際のマニュアルが整備されていること。
イ 緊急の訪問看護の必要性の判断を保健師又は看護師が速やかに行える連絡体制及び緊急の訪問看護が可能な体制が整備されていること。
ウ 当該訪問看護ステーションの管理者は、連絡相談を担当する看護師等以外の職員の勤務体制及び勤務状況を明らかにすること。
エ 看護師等以外の職員は、電話等により連絡及び相談を受けた際に、保健師又は看護師へ報告すること。報告を受けた保健師又は看護師は、当該報告内容等を訪問看護記録書に記録すること。
オ アからエについて、利用者及び家族等に説明し、同意を得ること。
カ 指定訪問看護事業者は、連絡相談を担当する看護師等以外の職員に関して別紙様式2または3を用いて地方厚生局長に届け出ること。
アのマニュアルには、以下の内容が定められている必要があります。
- 連絡相談の内容に応じた電話対応の方法及び流れ。
- 利用者の体調や看護・ケアの方法など看護に関する意見を求められた場合の保健師又は看護師への連絡方法、連絡相談に関する記録方法。
- 保健師又は看護師及び看護師等以外の職員の情報共有方法等。
ウの「勤務体制及び勤務状況を明らかにすること」では、看護師等以外の職員の勤務日及び勤務時間を勤務時間割表で示し、保健師又は看護師と共有することとなっています。
24時間対応体制加算(医療保険)の注意点
- 1か月につき、1人の利用者に対して、1つの訪問看護ステーションしか算定できません。
- 24時間対応体制加算に関し、利用者等から電話等により看護に関する意見を求められ、これに対応した場合及び緊急に指定訪問看護を実施した場合は、その日時、内容及び対応状況を訪問看護記録書に記録することになっています。
- 機能強化型訪問看護管理療養費3を届け出ている訪問看護ステーションにおいて、同一敷地内に訪問看護ステーションと同一開設者である保険医療機関が併設されている場合は、営業時間外の利用者又はその家族等からの電話等による看護に関する相談への対応は、併設する当該保険医療機関の看護師が行うことができる。この場合、訪問看護ステーションの看護職員(准看護師を除く。)が指定訪問看護を受けようとする者に対して、併設している保険医療機関の看護師と連携し営業時間外の電話等に対応する体制にある旨を説明し、利用者の同意を得るとともに、当該利用者の指定訪問看護に関する情報を当該保険医療機関の看護師と共有することについても利用者の同意を得ること。なお、当該保険医療機関の看護師が電話等の対応をした結果、主治医の指示により緊急時訪問看護を行う必要がある場合は、訪問看護ステーションの看護師等が実施すること。そのため、営業時間外の電話対応等を併設する保険医療機関の看護師が行う場合は、当該保険医療機関の看護師が訪問看護ステーションの看護師等に常に連絡が取れる体制を確保しているとともに、日頃より訪問看護ステーションと当該保険医療機関の連携に努めることとなっています。
Q&A
- Q特別地域又は医療を提供しているが医療資源の少ない地域に所在する2つの訪問看護ステーションが、連携して24時間対応体制加算に係る体制にあるものとして届出を行う場合において、一方のステーションが、特別地域に所在し、もう一方のステーションが医療資源の少ない地域に所在する場合も届出可能か。
- A
届出可能。
- Q在宅患者訪問看護・指導料の注15に掲げる訪問看護・指導体制充実加算(同一建物居住者訪問看護・指導料の注6の規定により準用する場合を含む。)の施設基準で求める「24時間訪問看護の提供が可能な体制」の確保について、当該保険医療機関が訪問看護ステーションと連携することにより体制を確保する場合、連携する訪問看護ステーションは、訪問看護管理療養費における24時間対応体制加算の届出を行っている必要があるか。
- A
連携する訪問看護ステーションについて、24時間対応体制加算の届出は不要である。
- Q特別地域に所在する2つの訪問看護ステーションが、連携して24時間対応体制加算に係る体制にあるものとして届出ている場合においては、24時間対応体制加算は、1人の利用者に対して一方の訪問看護ステーションが一括して算定し、合議により按分するということでよいか。
- A
よい。
- Q特別地域に所在する2つの訪問看護ステーションが、連携して24時間対応体制加算に係る体制にあるものとして届出を行う場合において、①2つの訪問看護ステーションが、両方とも特別地域に所在している必要があるか。②特別地域に所在する3つの訪問看護ステーションが連携して24時間対応体制加算に係る体制にあるものとして届出を行うことは可能か。
- A
①両方とも特別地域に所在している必要がある。
②不可。2つの訪問看護ステーションで24時間対応体制加算に係る体制を満たす場合に届出を行うことができる。
- Q特別地域若しくは医療を提供しているが医療資源の少ない地域に所在する訪問看護ステーション又は業務継続計画を策定した上で自然災害等の発生に備えた地域の相互支援ネットワークに参画している訪問看護ステーションが、連携して24時間対応体制加算に係る体制にあるものとして届出を行う場合において、一方のステーションが医療資源の少ない地域に所在し、もう一方のステーションが地域の相互支援ネットワークに参画している場合も届出可能か。
- A
届出可能。
- Q24時間対応体制加算の24時間対応体制に係る連絡相談に支障がない体制を構築している場合における、電話等による連絡及び相談に対応する際のマニュアルについて、①相談内容に応じた電話対応の方法及び流れ、②利用者の体調や看護・ケアの方法など看護に関する意見を求められた場合の看護師等への連絡方法、③連絡相談に関する記録方法、看護師等以外の職員への情報共有方法等を記載することとされているが、この3点のみ記載すればよいのか。
- A
「訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」で示した①から③まではマニュアルに最低限記載すべき事項であり、訪問看護ステーションにおいて必要な事項を適宜記載すること。
- Q24時間対応体制加算の24時間対応体制における看護業務の負担軽減の取組の「夜間対応」について、利用者又はその家族等からの訪問日時の変更に係る連絡や利用者負担額の支払いに関する問い合わせ等の事務的な内容の電話連絡は含まれるか。
- A
含まれない。
- Q24時間対応体制加算の24時間対応体制における看護業務の負担軽減の取組のうち「ア 夜間対応した翌日の勤務間隔の確保」とは、具体的にはどのような取組が該当するか。
- A
例えば、夜間対応した職員の翌日の勤務開始時刻の調整を行うこと等が考えられる。勤務間隔の確保にあたっては、「労働時間等見直しガイドライン」(平成20年厚生労働省告示第108号)等を参考に、従業者の通勤時間、交代制勤務等の勤務形態や勤務実態等を十分に考慮し、仕事と生活の両立が可能な実行性ある休息が確保されるよう配慮すること。
- Q24時間対応体制加算における24時間対応体制における看護業務の負担軽減の取組の「夜間対応」は、「当該訪問看護ステーションの運営規定に定める営業日及び営業時間以外における必要時の緊急訪問看護や、利用者や家族等からの電話連絡を受けて当該者への指導を行った場合」とされており、また、「翌日とは、営業日及び営業時間外から翌日の営業開始時間までの対応に備えている場合であって、「夜間対応」したが当該夜間対応が日付を越えずに終了し、その後の夜間対応がなかった場合は、どのように取り扱えばよいか。
- A
夜間(午後6時から午後10時まで)、深夜(午後10時から午前6時まで)の時間帯に夜間対応を行った場合は、対応が終了した時間にかかわらず、営業時間外の業務を開始した日の翌日の勤務間隔の調整を行う必要がある。
- Q24時間対応体制加算の24時間対応体制における看護業務の負担軽減の取組の「夜間対応」について、「翌日とは、営業日及び営業時間外の対応の終了時刻を含む日をいう。」とされているが、対応の終了時刻は残業時間を含めた終了時刻を指すのか。それとも残業時間に関わらず勤務表に掲げる終了時刻を指すのか。
- A
残業時間を含めた終了時刻を指す。
- Q24時間対応体制加算の24時間対応体制における看護業務の負担軽減の取組のうち、「エ 訪問看護の夜間勤務のニーズを踏まえた勤務体制の工夫」とは、具体的にどのような取組が該当するか。
- A
例えば、夜勤交代制、早出や遅出等を組み合わせた勤務体制の導入などが考えられる。
- Q24時間対応体制加算の24時間対応体制における看護業務の負担軽減の取組の「夜間対応」について、「原則として当該訪問事業所の運営規定に定める営業日及び営業時間以外における必要時の緊急時訪問看護や、利用者や家族等からの電話連絡及び当該者への指導等を行った場合等」とされているが、運営規定において24時間365日を営業日及び営業時間として定めている場合はどのように取り扱えばよいか。
- A
24時間対応体制加算の24時間対応体制における看護業務の負担軽減の取組を行っている場合については、持続可能な24時間対応体制の確保を推進するために、看護業務の負担軽減に資する十分な業務管理体制等の体制が整備されていることを評価するものである。夜間・早朝の訪問や深夜の訪問に係る加算における夜間(午後6時から午後10時まで)、深夜(午後10時から午前6時まで)、早朝(午前6時から午前8時まで)に計画的な訪問看護等の提供をしている場合を夜間対応とみなしたうえで、24時間対応体制における看護業務の負担軽減の取組を行っている場合には当該加算を算定して差し支えない。
- Q24時間対応体制加算の24時間対応体制における看護業務の負担軽減の取組のうち、「イ 夜間対応に係る勤務の連続回数が2連続(2回)まで」について、連絡相談を担当する者の急病等により、やむを得ず夜間対応が3連続以上となってしまった場合、直ちに厚生局に届出をし直す必要はあるか。
- A
夜間対応に係る連続勤務が3連続以上となった日を含む、1か月間の勤務時間割表等上の営業時間外に従事する連絡相談を担当する者の各勤務のうち、やむを得ない理由により当該項目を満たさない勤務が5%以内の場合は、当該項目の要件を満たしているものとみなす。なお、当該勤務時間割表等上の営業時間外について、運営規定において24時間365日を営業日及び営業時間として定めている訪問看護ステーションにおける取り扱いは、問7(1つ上の問)を参照されたい。
まとめ
令和6年度の改定により、区分が2つになりました。そのほか、変更になった部分が多いので、確認しておきましょう。
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