訪問看護ターミナルケア療養費(医療保険)

医療保険
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訪問看護ターミナルケア療養費は、訪問看護ステーションの看護師等が在宅等での終末期の看護の提供を行ったことを評価するものです。

在宅等で死亡した場合(ターミナルケア後、24時間以内に在宅以外で死亡した場合を含む)と、特別養護老人ホーム等で死亡した利用者であって、介護保険の看取り介護加算を算定した利用者の場合の2種類あります。

訪問看護ターミナルケア療養費(医療保険)の詳細

・訪問看護ターミナルケア療養費1

訪問看護基本療養費及び精神科訪問看護基本療養費を算定すべき指定訪問看護を行っている訪問看護ステーションの看護師等が、在宅で死亡した利用者(ターミナルケアを行った後、24時間以内に在宅以外で死亡した者を含む。)又は老人福祉法第20条の5に規定する特別養護老人ホームその他これに準ずる施設(以下「特別養護老人ホーム等」という。)で死亡した利用者(ターミナルケアを行った後、24時間以内に特別養護老人ホーム等以外で死亡した者を含み、指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準別表の1に規定する看取り介護加算その他これに相当する加算(以下「看取り介護加算等」という。)を算定している利用者を除く。)に対して、その主治医の指示により、その死亡日及び死亡日前14日以内に、2回以上指定訪問看護(区分02の注7に規定する退院支援指導加算の算定に係る療養上必要な指導を含む。)を実施し、かつ、訪問看護におけるターミナルケアに係る支援体制について利用者及びその家族等に対して説明した上でターミナルケアを行った場合に算定する。

・訪問看護ターミナルケア療養費2

訪問看護基本療養費及び精神科訪問看護基本療養費を算定すべき指定訪問看護を行っている訪問看護ステーションの看護師等が、特別養護老人ホーム等で死亡した利用者(ターミナルケアを行った後、24時間以内に特別養護老人ホーム等以外で死亡した者を含み、看取り介護加算等を算定している利用者に限る。)に対して、その主治医の指示により、その死亡日及び死亡日前14日以内に、2回以上指定訪問看護(区分02の注7に規定する退院支援指導加算の算定に係る療養上必要な指導を含む。)を実施し、かつ、訪問看護におけるターミナルケアに係る支援体制について利用者及びその家族等に対して説明した上でターミナルケアを行った場合に算定する。

2回以上の訪問看護とは?

2回以上ってことは、1日に2回訪問した場合も算定できるってこと?

医療保険の(精神科)訪問看護基本療養費は1日単位の算定になるから、2日訪問していないといけないよ。2回目の訪問は基本療養費ではなくて、複数回訪問加算という加算だね。

詳しくは最後の方にあるQ&Aを見てね。

訪問看護ターミナルケア療養費(医療保険)の算定金額

加算項目名と算定金額

訪問看護ターミナルケア療養費1・・・25000円/月

※特別養護老人ホーム等において、当該利用者に見取り介護加算等を算定していない場合

訪問看護ターミナルケア療養費2・・・10000円/月

※特別養護老人ホーム等において、当該利用者に見取り介護加算等を算定している場合

訪問看護ターミナルケア療養費(医療保険)の算定要件

算定要件
  • 在宅で死亡した利用者について、死亡日及び死亡日前14日以内の計15日間に訪問看護基本療養費、精神科訪問看護基本療養費又は退院支援指導加算のいずれかを合わせて2回以上算定し、かつ、訪問看護におけるターミナルケアの支援体制(訪問看護ステーションの連絡担当者の氏名、連絡先電話番号、緊急時の注意事項等)について利用者及びその家族等に対して説明した上でターミナルケアを行った場合に算定します。
  • 1回を退院支援指導加算とする場合は、退院日にターミナルケアに係る療養上必要な指導を行っている必要があります。
  • 1つの訪問看護ステーションにおいて、死亡日及び死亡日前14日以内に介護保険制度又は医療保険制度の給付の対象となる訪問看護をそれぞれ1日以上実施した場合は、最後に実施した指定訪問看護が医療保険制度の給付による場合に、訪問看護ターミナル療養費を算定します。
  • 訪問看護ターミナルケア療養費1は、在宅で死亡した利用者(24時間以内に在宅以外で死亡した者を含む。)又は特別養護老人ホーム等(※1)で死亡した利用者(見取り介護加算等(※2)を算定している利用者を除き、ターミナルケアを行った後、24時間以内に特別養護老人ホーム等以外で死亡した者を含む)に対して、ターミナルケアを行った場合に算定します。
  • 訪問看護ターミナルケア療養費2については、特別養護老人ホーム等で死亡した利用者(見取り介護加算等を算定している利用者に限り、ターミナルケアを行った後、24時間以内に特別養護老人ホーム等以外で死亡した者を含む。)に対して、ターミナルケアを行った場合に算定します。

※1 特別養護老人ホーム等・・・指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準第174条第1項に規定する指定特定施設、指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準第90条第1項に規定する指定認知症対応型共同生活介護事業所若しくは介護保険法第48条第1項第一号に規定する指定介護老人福祉施設

※2 見取り介護加算等・・・指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準別表の1に規定する見取り介護加算その他これに相当する加算

特別養護老人ホーム等とは?

えーと、「特別養護老人ホーム等」って具体的になに?

居宅基準174条1項に規定する指定特定施設は、介護保険法8条11項と介護保険法施行規則第15条に規定されていて、有料老人ホーム、養護老人ホーム、軽費老人ホームのことだね。指定認知症対応型共同生活介護事業所はグループホームだね。介護保険法第48条第1項第一号に規定されている介護老人福祉施設は8条27項に規定されている通り特別養護老人ホームだね。

 

まとめると、特別養護老人ホーム等っていうのは、有料老人ホーム、養護老人ホーム、軽費老人ホーム、グループホーム、特別養護老人ホームのことだよ。

訪問看護ターミナルケア療養費(医療保険)の注意点

注意点
  • 主治医との連携の下に、訪問看護ステーションの看護師等が在宅での終末期の看護の提供を行った場合を評価するものであること。
  • ターミナルケアの実施については、厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容を踏まえ、利用者及びその家族等と話し合いを行い、利用者本人の意思決定を基本に他の関係者と連携の上対応すること。
  • 同一の利用者に、他の訪問看護ステーションにおいて訪問看護ターミナルケア療養費を算定している場合又は保険医療機関において在宅患者訪問看護・指導料の在宅ターミナルケア加算若しくは同一建物居住者訪問看護・指導料の同一建物居住者ターミナルケア加算を算定している場合においては算定できない。
  • 訪問看護ターミナルケア療養費を算定した場合は、死亡した場所及び死亡時刻等を訪問看護記録に記録すること。
  • ターミナルケアを行った月と、死亡月が異なる場合には、死亡月に算定します。

ターミナルケア療養費はいつ算定すればいいの?

ターミナルケアを行った月と死亡月が異なる場合は、加算だけを算定できる?

ターミナルケア療養費は死亡月に算定することになっているよ。

通常は、訪問していない月に加算だけを算定することはできないけれど、この加算は例外だね。

レセプトの備考欄にターミナルケアを行った日付の記載が必要になるよ。

詳しくは下のQ&Aを見てね。

Q&A

Q&A
Q
訪問看護ターミナルケア療養費は在宅で死亡した利用者について、死亡日前14日以内に2回以上訪問看護基本療養費(退院支援指導加算を含む)を算定し、かつ、訪問看護におけるターミナルケア支援体制(訪問看護ステーションの連絡担当者の氏名、連絡先電話番号、緊急時の注意事項等)について利用者及びその家族等に対して説明した上でターミナルケアとして訪問看護を行った場合に算定するものであるが、平成22年の改定でどのように変更になったのか。
A

要件を満たしている場合には、在宅での死亡に限定せず、ターミナルケアとして訪問看護を行った後、24時間以内に在宅以外で死亡した者も対象となる要件緩和が行われた。

Q
ターミナルケア療養費は、死亡日及び死亡日前14日以内の計15日間に2回以上訪問看護基本療養費を算定した場合に算定できるとされているが、死亡日の前日に2回訪問していた場合にも算定が可能なのか。
A

同一日の複数回訪問は、1回としてカウントするため、この場合においてはターミナルケア療養費は算定できない。死亡日及び死亡日前14日の計15日以内に2日以上訪問している必要がある。

Q
死亡日及び死亡日前14日以内の計15日間に介護保険で1回、医療保険で1回それぞれターミナルケアを実施している場合にターミナルケア療養費は算定可能か。
A

合算して2回の訪問と考え、最後に利用した保険での加算の請求が可能である。

Q
もともとは介護保険適応の患者だが、急性増悪等により特別訪問看護指示書の交付を受け、死亡日前14日間の間に2回医療保険による訪問看護を行った後、15日目に死亡した場合、15日目は本来介護保険適応となっているが、ターミナルケア療養費はどちらの保険で請求すればよいのか。
A

介護保険による死亡前の訪問看護は1回も行われていないため、最後に訪問看護を行った医療保険での請求となる。

Q
訪問看護ターミナルケア療養費を算定する利用者について、指定訪問看護が最後に行われた日の属する月と死亡月が異なる場合、死亡月に当該療養費のみを算定して差し支えないか。
A

差し支えない。なお、この場合においては、訪問看護療養費明細書の「備考」欄に死亡日及び死亡前14日以内に指定訪問看護を行った日付を2日分記載すること。

まとめ

介護認定を受けている利用者については、最後に訪問したのがどちらの保険かで、算定できるターミナルケアについての加算が変わります。ご注意ください。

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