看護体制強化加算(介護保険)

介護保険
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医療ニーズの高い利用者への訪問看護体制を強化して、厚生労働大臣が定める基準を満たしているとして、届出をした場合に算定できるものです。毎月、算定要件を満たしているか、利用者数や加算数、看護職員の数を記録していく必要があります。

看護体制強化加算(介護保険)の詳細

別に厚生労働大臣が定める基準に適合しているものとして、都道府県知事に対し、老健局長が定める様式により届出を行った訪問看護事業所が、医療ニーズの高い利用者への指定訪問看護の提供体制を強化した場合は、当該基準に定める区分に従い、1月につき、次に掲げる所定単位数のいずれかを加算する。

※介護予防訪問看護では、ターミナルケア加算の要件はありませんが、それ以外は同様です。緊急時訪問看護加算、特別管理加算はそれぞれ、介護予防訪問看護の緊急時訪問看護加算と特別管理加算に読み替えてください。

厚生労働大臣が定める基準

イ 看護体制強化加算(Ⅰ)

(1)指定訪問看護ステーションである指定訪問看護事業所は、次に掲げる基準のいずれにも適合すること。

(一)算定日が属する月の前6月間において、指定訪問看護事業所における利用者の総数のうち、緊急時訪問看護加算を算定した利用者の占める割合が100分の50以上であること。

(ニ)算定日が属する月の前6月間において、指定訪問看護事業所における利用者の総数のうち、特別管理加算を算定した利用者の占める割合が100分の20以上であること。

(三)算定日が属する月の前12月間において、指定訪問看護事業所におけるターミナルケア加算を算定した利用者が5名以上であること。

(四)当該事業所において指定訪問看護の提供にあたる従業者の総数のうち、同項第一号イに規定する看護職員の占める割合が100分の60以上であること。ただし、指定訪問看護事業者が、指定介護予防サービス等の事業の人員、設備及び運営並びに指定介護予防サービス等に係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準(以下「指定介護予防サービス等基準」という。)第63条第1項に規定する指定介護予防訪問看護事業所の指定を併せて受け、かつ、指定訪問看護の事業と指定介護予防訪問看護の事業とが同一の事業所において一体的に運営されている場合における当該割合の算定にあたっては、指定訪問看護を提供する従業者と指定介護予防訪問看護を提供する従業者の合計数のうち、看護職員の占める割合によるものとする。

(2)指定訪問看護ステーション以外である指定訪問看護事業所にあっては、(1)(一)から(三)までに掲げる基準のいずれにも適合すること。

(ロ)看護体制強化加算(Ⅱ)

(1)指定訪問看護ステーションである指定訪問看護事業所にあっては、次に掲げる基準のいずれにも適合すること。

(一) イ(1)(一)、(ニ)及び(四)に掲げるいずれにも適合すること。

(ニ) 算定日が属する月の前12月間において、指定訪問看護事業所におけるターミナルケア加算を算定した利用者が1名以上であること。

(2)指定訪問看護ステーション以外である指定訪問看護事業所にあっては、イ(1)(一)及び(ニ)並びにロ(1)(ニ)に掲げる基準のいずれにも適合すること。

看護体制強化加算(介護保険)の算定金額

加算項目名と算定金額
加算区分加算単位数看護職員要件緊急時訪問看護加算要件特別管理加算要件ターミナルケア加算要件
看護体制強化加算(Ⅰ)550単位/月看護職員が6割以上6か月間に緊急時訪問看護加算算定者5割以上6か月間に特別管理加算算定者2割以上12か月間にターミナルケア加算算定者5名以上
看護体制強化加算(Ⅱ)200単位/月看護職員が6割以上6か月間に緊急時訪問看護加算算定者5割以上6か月間に特別管理加算算定者2割以上12か月間にターミナルケア加算算定者1名以上
介護予防看護体制強化加算100単位/月看護職員が6割以上6か月間に緊急時介護予防訪問看護加算算定者5割以上6か月間に介護予防訪問看護の特別管理加算算定者2割以上なし。

※どちらを算定するのか、都道府県知事に届出をします。加算区分を変更する場合は、変更届の提出が必要になります。

看護体制強化加算(介護保険)の算定要件

算定要件
  • 厚生労働大臣が定める基準における利用者の割合については、以下のアに掲げる数をイに掲げる数で除して、算定日が属する月の前6月間当たりの割合を算出すること。

ア 指定訪問看護事業所における緊急時訪問看護加算を算定した実利用者数

イ 指定訪問看護事業所における実利用者の総数

  • 厚生労働大臣が定める基準における利用者の割合については、以下のアに掲げる数をイに掲げる数で除して、算定日が属する月の前6月間当たりの割合を算出すること。

ア 指定訪問看護事業所における特別管理加算を算定した実利用者数

イ 指定訪問看護事業所における実利用者の総数

  • 上記の実利用者数は、前6月間において、当該事業所が提供する訪問看護を2回以上利用した者又は当該事業所で当該加算を2回以上算定した者であっても、1として数えること。そのため、割合の算出において、利用者には、当該指定訪問看護事業所を現に利用していない者も含むことに留意すること。
  • 看護職員の占める割合の算出に当たっては、常勤換算方法により算出した前月(暦月)の平均を用いることとする。なお、当該割合が100分の60から1割を超えて減少した場合(100分の54を下回った場合)には、その翌月から看護体制強化加算を算定できないものとし、1割の範囲内で減少した場合(100分の54以上100分の60未満であった場合)には、その翌々月から当該加算を算定できないものとすること(ただし、翌月の末日において100分の60以上となる場合を除く。)。
  • 看護体制強化加算を算定するに当たっては、当該指定訪問看護事業所の看護師等が、当該加算の内容について利用者又はその家族への説明を行い、同意を得ていること。
  • 看護体制強化加算を算定するに当たっては、医療機関との連携のもと、看護職員の出向や研修派遣などの相互人材交流を通じて在宅療養支援能力の向上を支援し、地域の訪問看護人材の確保・育成に寄与する取組を実施していることが望ましい。

※ 介護予防訪問看護では、ターミナルケア加算の要件はありません。

看護体制強化加算(介護保険)の注意点

注意点
  • 支給限度区分額に含まれる加算です。
  • 看護体制強化加算を算定するに当たっては、厚生労働大臣が定める基準について、継続的に所定の基準を維持しなければならない。なお、その割合及び人数については、台帳等により毎月記録するものとし、所定の基準を下回った場合については、直ちに都道府県知事に届け出をしなければならないこと。
  • 看護体制強化加算は訪問看護事業所の利用者によって、(Ⅰ)又は(Ⅱ)を選択的に算定することができないものであり、当該訪問看護事業所においていずれか一方のみを選択し、届出を行うこと。
  • 介護予防訪問看護では、区分は1つだけです。

Q&A

Q&A
Q
看護体制強化加算の要件として、「医療機関と連携のもと、看護職員の出向や研修派遣などの相互人材交流を通じて在宅療養支援能力の向上を支援し、地域の訪問看護人材の確保・育成に寄与する取組を実施していることが望ましい。」ことが示されたが、具体的にはどのような取組が含まれるのか。
A

当該要件の主旨は、看護体制強化加算の届出事業所においては、地域の訪問看護人材の確保・育成に寄与する取組が期待されるものとして示されたものであり、例えば、訪問看護ステーション及び医療機関の訪問看護事業所間において相互の研修や実習等の受入れ、地域の医療・介護人材育成のための取組等、地域の実情に応じた積極的な取組が含まれるものである。

Q
留意事項通知における「前6月間において、当該事業所が提供する訪問看護を2回以上利用した者又は当該事業所で当該加算を2回以上算定した者であっても、1として数えること」とは、例えば、1~6月にかけて継続して利用している利用者Aは1人、1月に利用が終了した利用者Bも1人と数えるということでよいか。
A

貴見の通りである。具体的には下表を参照のこと。

Q
仮に7月に算定を開始する場合、届出の内容及び期日はどうなるのか。
A

看護体制強化加算の算定にあたっては、「算定日が属する月の前6月間」において特別管理加算及び緊急時訪問看護加算を算定した実利用者の割合を算出する必要がある。

仮に、7月に算定を開始する場合は、6月15日以前に届出を提出する必要があるため、6月分は見込みとして1月・2月・3月・4月・5月・6月の6月間の割合を算出することとなる。

なお、6月分を見込みとして届出を提出した後に、加算が算定されなくなる状況が生じた場合には、速やかにその旨を届出すること。

Q
1つの訪問看護事業所で看護体制強化加算(Ⅰ)及び(Ⅱ)を同時に届出することはできないが、例えば、加算(Ⅱ)を届出している事業所が、加算(Ⅰ)を新たにとる場合には、変更届の提出が必要ということでよいか。
A

貴見のとおりである。

Q
看護体制強化加算に係る経過措置について、令和5年4月1日以後に「看護職員の離職等」により基準に適合しなくなった場合の経過措置で、看護職員の採用に関する計画について具体的な様式は定められているのか。
A

様式は定めていない。

Q
看護体制強化加算に係る経過措置について、令和5年4月1日以後に「看護職員の離職等」により基準に適合しなくなった場合の経過措置が示されているが、看護職員の離職以外にどのようなものが含まれるのか。
A

看護職員の離職以外に、看護職員の病休、産前産後休業、育児・介護休業又は母性健康管理措置としての休業を取得した場合が含まれる。

まとめ

毎月、利用者数や加算の算定者数、従業員割合などを集計、記録する必要がある加算です。ご注意ください。

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