医療保険とは異なる部分もあります。また、より細かく決まっている部分も多いで、基本的な事項については、知っておく必要があります。
介護保険の訪問看護の対象者
介護保険の訪問看護費は、通院が困難な要介護(要支援)の利用者に対して、主治医の指示(訪問看護指示書)と訪問看護計画書に基づいて、看護師等が利用者の居宅に訪問を行った場合に、現に要した時間ではなく、訪問看護計画書に位置付けられた標準時間で所定単位数を算定します。
ただし、末期の悪性腫瘍、厚生労働大臣が定める疾病等の患者と精神科訪問看護の対象者は除きます。
末期の悪性腫瘍、厚生労働大臣が定める疾病等の利用者と精神科訪問看護の対象者(精神科訪問看護指示書が出た利用者)は、医療保険での訪問看護となります。
- 多発性硬化症
- 重症筋無力症
- スモン
- 筋萎縮性側索硬化症
- 脊髄小脳変性症
- ハンチントン病
- 進行性筋ジストロフィー
- パーキンソン病関連疾患(進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、パーキンソン病(ホーエンヤール重症度分類がステージ3以上であって、生活機能障害度がⅡ度又はⅢ度のものに限る。))
- 多系統萎縮症(線条体黒質変性症、オリーブ橋小脳萎縮症およびシャイドレーガー症候群)
- プリオン病
- 亜急性硬化性全脳炎
- ライソゾーム病
- 副腎白質ジストロフィー
- 脊髄性筋萎縮症
- 球脊髄性筋萎縮症
- 慢性炎症性脱髄性多発神経炎
- 後天性免疫不全症候群
- 頸髄損傷
- 人工呼吸器を使用している状態

通院が困難な利用者って、通院できる人は訪問看護は利用できないってこと?
あと、看護師等って具体的に誰と誰なの?

ちがうよ。
「通院できるけど、面倒だから看護師さんに来てほしい」なんて理由で訪問看護を使わずに、通院で事足りるなら通院を優先してねって意味だよ。
看護師等は、保健師・看護師・准看護師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士のことだよ。
訪問サービスの行われる利用者の居宅について
訪問サービス(訪問介護・訪問看護・訪問入浴介護・訪問リハビリテーション)は、介護保険法第8条において、要介護者の居宅において行われるものとなっており、居宅以外で行われたサービスは保険算定できません。
ただし、訪問介護の通院乗降介助では、居宅以外でのサービスも、居宅を起点として行う限りにおいて認められる場合があります。
サービス種類相互の算定関係
施設入居者への訪問看護
特定施設入居者生活介護又は認知症対応型共同生活介護若しくは地域密着型特定施設入居者生活介護を受けている間は、居宅療養管理指導を除いて、指定居宅サービス、指定地域密着型サービスは、算定できません。
特定施設とは、有料老人ホーム、養護老人ホーム、軽費老人ホームのことです。また、サービス付き高齢者向け住宅であっても、食事、介護、家事、健康管理のいずれかのサービスを提供している場合は、有料老人ホームとして扱われます。
特定施設入居者生活介護とは、この特定施設に該当する施設において、入居する要介護者、要支援者に施設から介護サービスを提供している場合です。
例えば、住宅型有料老人ホームの入居者に、訪問看護を行い、訪問看護費を保険請求できますが、介護付き有料老人ホームの入居者に訪問看護を提供しても、訪問看護費の保険請求はできません。
認知症対応型共同生活介護とは、グループホームのことです。その入居者に訪問看護を提供しても、保険請求はできません。
また、利用者が短期入所生活介護(ショートステイ)または短期入所療養介護(介護医療院・老健などのショートステイ)を受けている間は、訪問・通所サービスは保険請求できません。つまり、訪問看護を提供しても保険請求できません。ただし、福祉用具だけは、算定可能です。

ざっくりまとめると、介護保険の訪問看護の対象者は、末期がんや厚生労働大臣が定める疾病等でなくて、精神科の主治医でもなくて、施設にも入所していない介護認定を受けている人ってことでいいのかな?

だいたいそうだね。あと、介護認定を受けている人でも主治医が特別訪問看護指示書を発行した場合、その期間だけは医療保険の訪問看護の対象者になるよ。
それと、施設といっても住宅型有料老人ホームの中に訪問看護事業所があるような所、一見、その施設のスタッフが介護サービスを提供しているように見えて、実は訪問看護事業所が併設していてそこのスタッフが兼務しているというような所もあるから、注意してね。「介護付き」という表示がある老人ホームには、訪問看護の提供はできないよ。
- Q第2号被保険者(特定疾病該当者)で訪問看護のみを希望した場合、要介護認定を受けずに医療保険の訪問看護を利用してよいか。あるいは要介護認定を受けた上で介護保険の訪問看護を利用すべきか。
- A
要介護認定を受けていただくのが原則であるが、介護保険サービス利用は申請主義であり、利用者本人が専ら医療保険のサービスしか利用しない場合には、必ずしも要介護認定を受けなければならないものではない。
- Q認定申請中において認定申請の取り下げができるというが具体的にどのような手順となるのか。
- A
認定申請の取り下げを希望する者は、市町村に対して、書面(任意様式)により取下げを希望する旨を申し出る。当該申し出を受けた市町村は、当該者に対して被保険者証を返付すると共に、既に資格証を交付している場合には資格証の返還を求める。なお、居宅サービス計画の作成依頼に係る居宅介護支援事業者名等の届出が行われている場合には当該届出はなかったものとみなすことも必要となる。居宅介護支援事業者や介護サービス事業者に対する認定申請を取り下げた旨の連絡は原則として取り下げを申し出た者が行うこととし、市町村はこの旨申し出を行った者に周知することが必要である。
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