理学療法士・作業療法士・言語聴覚士による訪問看護(介護保険)

介護保険
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理学療法士等による訪問看護

理学療法士等による訪問看護はその訪問が看護業務の一環としてのリハビリテーションを中心としたものである場合に看護職員の代わりに訪問させるものです。この点について、利用者に説明し、同意を得る(同意を得た記録を残す)必要があります。以下、特に記載がない場合は、介護予防訪問看護も同様です。

理学療法士等による訪問看護の制限事項

週6回が限度、さらに1日3回以上訪問すると減算

理学療法士等(※理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)による訪問看護は、1回当たり20分以上となっており、1人の利用者について週6回が限度となります。さらに、1日に3回以上訪問する場合、1回につき1割減算されます。

例)1日の訪問回数が3回の場合、1回の単位数×0.9×3回となります。

また、言語聴覚士については、言語聴覚士法第42条第1項の診療の補助行為に限られます。

介護予防訪問看護では、3回以上で半分減算

介護予防訪問看護では、理学療法士等による訪問看護を1日に3回以上実施した場合、1回につき100分の50に相当する単位数を算定します。これは、連続して3回実施した場合だけでなく、午前中に2回、午後に1回行った場合も同様です。

例)1日の訪問回数が3回の場合、1回の単位数×0.5×3回となります。

理学療法士等による訪問看護の留意事項

訪問看護計画書や報告書は看護師と連携して作成し、別添報告書が必要

理学療法士等による訪問看護を行った利用者については、訪問看護記録等を用いて、看護職員(保健師・看護師・准看護師)と利用者の状況や実施内容を共有する必要があります。

また、訪問看護計画書や訪問看護報告書は、保健師または看護師と連携して作成しなければなりません。訪問看護計画書にはリハビリの内容を含んでいる必要があります。さらに訪問看護報告書においては、理学療法士等が実施した内容や結果を記載した書類(別添報告書)を作成して添付する必要があります。

看護職員による利用開始時の訪問、3ヶ月に1回以上の定期的な訪問が必要

計画書や報告書の作成の際は、訪問看護の利用開始時や状態変化に合わせて少なくとも3ヶ月に1回以上、定期的に看護職員が訪問する必要があります。

訪問看護の利用開始時とは、過去2か月間、医療保険の訪問看護を含め、当該訪問看護事業所から訪問看護を提供していない場合で、新しく訪問看護計画書を作成する場合をいいます。また、利用者の状態にあわせた定期的な訪問とは、訪問看護指示書の内容が変更になる場合や、利用者の状態変化や家族等の環境に変化があった場合に訪問することをいいます。

事業所での前年度の訪問回数が看護職員の訪問回数を超えると減算、半年間に規定する加算の算定がない場合も減算

理学療法士等による訪問看護は、事業所での前年の4月から当該年の3月までの理学療法士等による訪問回数が看護職員の訪問回数を超えている場合は、当該年度の理学療法士等による訪問看護費から8単位を減算します。

前年の4月から当該年の3月までの理学療法士等による訪問回数が看護職員の訪問回数以下であっても、算定日が属する月の前6か月間において、緊急時訪問看護加算や特別管理加算、看護体制強化加算のいずれも算定していない場合は、理学療法士等による訪問看護費から8単位を減算します。

看護職員による定期的な訪問で、看護職員と理学療法士等が同時に訪問した場合は、看護職員の訪問看護費を算定した場合は看護職員の訪問回数としてカウントし、理学療法士等の訪問看護費を算定した場合は理学療法士等の訪問回数としてカウントします。

加算を算定していない場合っていうのは、事業所として算定していない場合ってことでいいのよね?利用者ごとじゃないよね?

利用者ごとじゃないよ。要支援、要介護を全部含めて、事業所として加算の算定がない場合だね。訪問回数の集計も介護予防と要介護が一体的に指定を受けている場合は合算するよ。

理学療法士等による介護予防訪問看護が12か月を超えると減算

理学療法士、作業療法士及び言語聴覚士が提供する介護予防訪問看護の利用が12月を超える場合は、上記の減算(理学療法士等の訪問回数が看護職員の訪問回数を超えた場合、あるいは半年間に特別管理加算、看護体制強化加算、緊急時介護予防訪問看護加算を算定していない場合)を行っている場合には、さらに15単位を減算し、上記の減算を行っていない場合は5単位減算する。なお、入院による中断があり、かつ医師の指示内容に変更がある場合は新たに利用が開始されたものとする。

理学療法士等による訪問看護の減算まとめ

訪問看護
理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士による訪問看護緊急時介護予防訪問看護加算、特別管理加算、看護体制強化加算
算定している算定していない
前年度の訪問回数看護職員>=リハ職減算なし8単位減算
看護職員<リハ職8単位減算8単位減算

1日の訪問回数が3回以上で1割減算

例)1日の訪問回数が3回の場合、1回の単位数×0.9×3回となります。

介護予防訪問看護
理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士による介護予防訪問看護緊急時訪問看護加算、特別管理加算、看護体制強化加算
算定している算定していない
前年度の訪問回数看護職員>=リハ職12月以内:減算なし
12月を超える:5単位減算
12月以内:8単位減算
12月を超える:8単位減算+15単位減算
看護職員<リハ職12月以内:8単位減算
12月を超える:8単位減算+15単位減算
12月以内:8単位減算
12月を超える:8単位減算+15単位減算

1日の訪問回数が3回以上で半分減算。

例)1日の訪問回数が3回の場合、1回の単位数×0.5×3回となります。

表になるとわかりやすいね。

介護予防の減算がひどい・・・。

介護予防という意味では、要介護になる前に積極的にリハビリしたほうがよさそうだけど・・・。

厚生労働省の資料そのままだけどね。

まあ、役割分担だね。

通所リハビリテーションだけではADLの自立が困難な場合に、理学療法士等による訪問看護を行うということになっているよ。

Q&A
Q
理学療法士等による訪問看護は、1回の訪問看護につき、1回分の報酬しか算定できないのか。
A

理学療法士等による訪問看護については、20分以上を1回として、1度の訪問で複数回の実施が可能である。例えば、1度で40分以上の訪問看護を行った場合は、2回分の報酬を算定できる。

Q
複数の事業所の理学療法士等が1人の利用者に対して訪問看護を1日に合計して3回以上行った場合は、それぞれ90/100に相当する単位数を算定するのか。
A

それぞれ90/100に相当する単位数を算定する。

Q
理学療法士等の訪問については、訪問看護計画において、理学療法士等の訪問が保健師又は看護師による訪問の回数を上回るような設定がなされてもよいのか。
A

リハビリテーションのニーズを有する利用者に対し、病院、老人保健施設等が地域に存在しないこと等により訪問リハビリテーションを適切に提供できず、その代替えとしての訪問看護ステーションからの理学療法士等の訪問が過半を占めることもあることから、理学療法士等の訪問が保健師又は看護師による訪問の回数を上回るような設定もあると考える。

Q
理学療法士、作業療法士及び言語聴覚士による訪問看護は、訪問看護事業所のうち、訪問看護ステーションのみで行われ、訪問看護計画書及び訪問看護報告書は、看護職員(准看護師を除く)と理学療法士、作業療法士及び言語聴覚士が連携し作成することが示されたが、具体的にどのように作成すればよいのか。
A

・訪問看護ステーションの理学療法士、作業療法士及び言語聴覚士(以下、理学療法士等という)が訪問看護を行っている利用者の訪問看護計画書及び訪問看護報告書については、当該訪問看護ステーションの看護職員(准看護師を除く)と理学療法士等が利用者等の情報を共有したうえで、「訪問看護計画書及び訪問看護報告書の取扱いについて」に示す様式に準じて提供したサービス等の内容を含めて作成することとしており、これにより適切な訪問看護サービスが行われるよう連携を推進する必要がある。

・なお、看護職員と理学療法士等との連携の具体的な方法については、「訪問看護事業所における看護職員と理学療法士等のより良い連携のための手引き」(全国訪問看護事業協会)においても示されており、必要に応じて参考にしていただきたい。

Q
複数の訪問看護事業所から訪問看護受けている利用者について、訪問看護計画書及び訪問看護報告書の作成にあたっては当該複数の訪問看護事業所間において十分な連携を図ったうえで作成することとあるが、どのように連携すればよいのか。
A

複数の訪問看護事業所により訪問看護が行われている場合については、それぞれの事業所で作成された計画書等の内容を共有するものとし、具体的には計画書等を相互に送付し共有する若しくはカンファレンス等において情報共有するなどが考えられるが、後者の場合にはその内容について記録に残すことが必要である。

Q
留意事項通知において、「計画書及び報告書の作成にあたっては、訪問看護サービスの利用開始時及び利用者の状態変化等に合わせ、定期的な看護職員による訪問により利用者の状態の適切な評価を行うこと。」とされたが、看護職員による訪問についてどのように考えればよいか。
A

訪問看護サービスの「利用開始時」については、利用者の心身状態等を評価する観点から、初回の訪問は理学療法士等の所属する訪問看護事業所の看護職員が行うことを原則とする。また、「定期的な看護職員による訪問」については、訪問看護指示書の有効期限が6月以内であることを踏まえ、少なくとも概ね3か月に1回程度は当該事業所の看護職員による訪問により、利用者の状態の適切な評価を行うものとする。なお、当該事業所の看護職員による訪問については、必ずしもケアプランに位置付け訪問看護費の算定までを求めるものではないが、訪問看護費を算定しない場合には、訪問日、訪問内容等を記録すること。

Q
理学療法士等による訪問看護はその訪問が看護業務の一環としてのリハビリテーションを中心としたものである場合に看護職員の代わりに訪問させるものであること等を説明した上で利用者の同意を得ることとなったが、同意書の様式はあるのか。また、平成30年4月以前より理学療法士等による訪問看護を利用している者について、同意を得る必要があるのか。
A

同意に係る様式等は定めておらず、方法は問わないが、口頭の場合には同意を得た旨を記録等に残す必要がある。また、すでに理学療法士等による訪問看護を利用している者についても、速やかに同意を得る必要がある。

Q
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士による介護予防訪問看護について、当該事業所においてサービスを継続しているが、要介護認定の状態から要支援認定へ変更となった場合の12月の取扱如何。
A

要支援認定の効力が生じた日以降で、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士による当該サービスを利用開始した日が属する月をもって、利用が開始されたものとする。ただし、要支援の区分が変更された場合(要支援1から要支援2への変更及び要支援2から要支援1への変更)はサービスの医療が継続されているものとみなす。

Q
理学療法士等による訪問看護の減算要件である前年度の理学療法士等による訪問回数は、連続して2回の訪問看護を行った場合はどのように数えるのか。
A

理学療法士等による訪問看護の減算に係る訪問回数については、理学療法士等が連続して2回の訪問を行った場合は、1回と数える。例えば、理学療法士等が3月1日と3月3日にそれぞれ2回ずつ訪問を実施した場合、算定回数は4回であるが、訪問回数は2回となる。また、理学療法士等が3月5日の午前に1回、午後に連続して2回訪問を実施した場合は、算定回数は3回、訪問回数は2回となる。

Q
前年度の理学療法士等による訪問回数はどのように算出するのか。
A

居宅サービス計画、訪問看護報告書及び訪問看護記録書等を参照し、訪問回数を確認すること。

Q
前年度の理学療法士等による訪問回数には、連携型の定期巡回・随時対応型訪問介護看護による訪問回数は含まれるか。
A

含まれる。

Q
減算の要件のひとつに「当該訪問看護事業所における前年度の理学療法士、作業療法士及び言語聴覚士による訪問回数が、看護職員による訪問回数を超えていること。」とあるが、この訪問回数は、訪問看護費と介護予防訪問看護費で別々に数えるのか。それとも合算して数えるのか。
A

指定訪問看護事業者が指定介護予防訪問看護事業者の指定を合わせて受け、一体的に運営されている場合については合算して数える。

同様に、緊急時(介護予防)訪問看護加算、特別管理加算、看護体制強化加算((Ⅰ)又は(Ⅱ)あるいは(予防)に係る要件についても、訪問看護費と介護予防訪問看護費における双方の算定日が属する月の前6月間において、加算の実績がない場合には、所定の単位数を減算する。

Q
介護予防法訪問・通所リハビリテーション及び介護予防訪問看護からの理学療法士・作業療法士・言語聴覚士による訪問について、12月以上継続した場合の減算起算の開始時点はいつとなるのか。また、12月の計算方法は如何。
A

・当該サービスを利用開始した日が属する月となる。

・当該事業所のサービスを利用された月を合計したものを利用期間とする。

Q
介護予防訪問・通所リハビリテーション及び介護予防訪問看護からの理学療法士・作業療法士・言語聴覚士による訪問について、当該事業所においてサービスを継続しているが、要介護認定の状態から要支援認定へ変更になった場合の取扱如何。
A

・要支援認定の効力が生じた日が属する月をもって利用が開始されたものとする。

・ただし、要支援の区分が変更された場合(要支援1から要支援2への変更及び要支援2から要支援1への変更)はサービス利用が継続されているものとみなす。

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